...また、或郵便局長は、その山津浪だと聽いて、直ぐその妻子のからだにその氏名を縫ひつけかけたが、そのひまさへも無く、谷を破つて溢れて來た水は、猛烈な響きと共に、その家族ばかりではなく、すべての家も田地も村も川も、またたく間に、すべて卷込んでしまつたと云ふ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...またたく間にあらかた燃え尽きた...
梅崎春生 「狂い凧」
...あとにはほんのすこしの水泡(みなわ)が浮いているだけ――その水泡もまたたく間に...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...船内捜査(そうさ)こうして、四五頭のライオンと豹とが、またたく間に、斃(たお)されてしまった...
海野十三 「幽霊船の秘密」
...それだけの丸太をまたたく間に灰にしてしまいました...
鈴木三重吉 「ぶくぶく長々火の目小僧」
...この炭坑街にまたたく間に...
林芙美子 「新版 放浪記」
...またたく間に、流されてしまったらしい...
火野葦平 「花と龍」
...またたく間に彼は私からずいぶんの額を借りることになったが...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「ウィリアム・ウィルスン」
...その一二年の月日はまたたく間に過ぎた...
堀辰雄 「曠野」
...引きつけて、突き、退がりながら、斬り揮う短刀に無駄がなく、またたく間に、その場に倒れてしまわぬものは、いのちからがら逃げのびて、河岸(かし)にへたばって、呻いている...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...またたく間に空の青さの中にかき消えた姿は...
横光利一 「旅愁」
...だがまたたく間に近づいてきたのを見ると...
吉川英治 「三国志」
...練兵場に積みあげられた四、五百の屍が、またたく間に、みなむくむく起きだして、それが一かたまりの濛気(もうき)となり、王宮の内へ流れ入ると、やがて池畔(ちはん)の演武堂にはしり上がり、四、五百体の左慈そのままな姿をもった妖人が、あやしげな声を張り、奇なる手ぶり足ぶりをして、約一刻のあいだも、舞い狂っていたということだった...
吉川英治 「三国志」
...またたく間に打ち破られ...
吉川英治 「三国志」
...しぶきを上げて、庄内川に泳いでいた者、または野を駈けていた騎馬の者や、竹槍調練をしていた歩卒など、「御帰城だ」「引揚げ――」と、一斉に、河原の仮屋を中心に馳せ集まって、またたく間に、三列四列、横隊になった軍馬が粛(しゅく)として、主君のすがたが鞍に乗るのを待っていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...南郷をまたたく間に駈け...
吉川英治 「新書太閤記」
...またたく間に影を潜めてしまった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...手を空(むな)しく覗いているのは一部の老将やその幕下に過ぎず、侍たちは弓を立て並べて、またたく間に、背の羽壺(うつぼ)のものは射尽してしまった...
吉川英治 「源頼朝」
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断念する 貞信公 転んでもただは起きない
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