...どす黒い層雲は、動かない樣でも動いてゐるので、冷やかに笑ふ月の西に傾くその一端を見せたり、隱したりする...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...どす黒い河の水が...
海野十三 「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」
...彼は痩(や)せ型(がた)の、顔色のどす黒い、そして今時金縁(きんぶち)眼鏡をかけているという人物だった...
海野十三 「密林荘事件」
...どす黒い巨大な怪物のようなものが...
江戸川乱歩 「海底の魔術師」
...ぽかんとひらいた厚いどす黒いくちびるからよだれをたらして...
江戸川乱歩 「影男」
...階段の踏面(ふみづら)にたまったどす黒い血の流れが...
大阪圭吉 「灯台鬼」
...茶いろのゴルフ服に身を固めた顔のどす黒い異形の一人物と...
谷譲次 「踊る地平線」
...殊に指の股だとか、小鼻の周囲だとか、襟頸だとか、背筋だとかに、どす黒い、埃の溜ったような隈が出来る...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...頸(くび)のところがふくれ返ったどす黒い代物(しろもの)で...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...近年の洋画界の一面に妙に陰惨などす黒いしかもその中に一種の美しさをもったものの影が拡がって来るのを覚えるのは私ばかりではあるまい...
寺田寅彦 「帝展を見ざるの記」
...魔といふものは髪をばあつとさげたどす黒いもののやうに思つてゐた...
中勘助 「銀の匙」
...どす黒い煙と炎とがどっと吹き出し...
永井隆 「長崎の鐘」
...其処に大きな蛇は虫にくはれてくねくねの木々の枝よりどす黒い臭気をあげては堕ちてゐた!子供等に見せたかつたよ...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...どす黒い土色になり...
長與善郎 「青銅の基督」
...白く肌理(きめ)の細(こまか)い金五郎の皮膚にくらべて、友田の身体は、鮫肌(さめはだ)で、どす黒い...
火野葦平 「花と龍」
...どす黒い、どろどろした、おまけに嘔吐(へど)を吐いてもまだたまらないやうな悪臭を発散してゐるのだ...
北條民雄 「鬼神」
...どす黒い姿を凝り固まらせ...
室生犀星 「童子」
...桐生から此処へ来るまでの、どす黒い、歪んだ感情...
山本周五郎 「夕靄の中」
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