...西に/\と走つて居た霧は足をすくはれたやうに暫らくたじろぐと見えたが...
有島武郎 「潮霧」
...アノ卓子(テーブル)を俺が別の場所へ取除けちやつたら怎(どう)だつたらう? 女は二三歩後にたじろぐ...
石川啄木 「病院の窓」
...冬の光は冲天に流れて池面は数日来じめじめ淀んでゐるアカホの木は一つ古木ゆゑに杖のやうに気根をたよりその南の枝に烏は一羽 未だ地上に達しない光を貪ってゐる烏は ただ 黙々と村人たちの悲しい迷信の上に不可思議な運命をまじなひ樹下にたじろぐ二人三人の村人は木梢にうそぶく彼の運命の声に胸をおさへてゐるこのアカホの木に烏がなけば...
泉芳朗 「アカホの木」
...警官たちがたじろぐ隙に...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...相手はたじろぐ様子もなく...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...たじろぐ眼の前へ夜霧の煙幕...
野村胡堂 「幻術天魔太郎」
...「あツ」とたじろぐところを...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「あツ」と、たじろぐ直助...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...左の瞼(まぶた)をかすめてハツとたじろぐ曲者...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「己れッ」たじろぐ浪之進...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...たじろぐ色もなく真名古の方に走り寄って来る...
久生十蘭 「魔都」
...たじろぐところが生じるのですね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...軽き眩暈(めまひ)に身はたじろぐ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...びくびくすることがあるもんか」たじろぐ仲間を叱りつけて...
吉川英治 「江戸三国志」
...「船頭、何をたじろぐ...
吉川英治 「私本太平記」
...たじろぐような眉をした...
吉川英治 「新書太閤記」
...たじろぐ隙に、弦之丞は、死骸のつかんでいる鞘をとり、それを下段に、白刃を片手上段に持って、四、五たび廃寺の廊下を駆け廻っていたが、やがて、お綱の姿をチラと見て、庫裏(くり)の裏手へ飛び下り、大竹藪の深い闇へ、ふと、影をくらましてしまった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...苦痛にドーブレクのたじろぐ暇に得たりとばかりルパンは身を起して奮然彼の喉に突きかかった...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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