...さりとて曲がない...
泉鏡花 「婦系図」
...さりとて怒ってばかりもおられず...
伊藤左千夫 「春の潮」
...さりとて、あれ以来妻は気持を悪くして、なるべく私とは顔を合わせぬように努めているらしく、早晩この問題は解決しなければならず、とつおいつ苦慮しながらも一日延ばしに延ばしていたのであったが、……さてその妻が打って変った柔らかな調子で、突然私のところへ電話なぞを掛けてよこしたというのは、ちょうどお互いの間がこういう風に、妙にこじれた状態の時であった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...さりとて、両方だときめるのは、今の場合彼にはつらかった...
豊島与志雄 「反抗」
...さりとて、行手は千住の大橋で、川を徒渡(かちわた)りでもしない限り、裏道を通り抜けるというわけにもゆきません...
中里介山 「大菩薩峠」
...時は、無論、山が荷になるほどの暑い時候ではなかったけれど、さりとてまだ、ゆきたけつもりて裾の寒さよ、とふるえ出すほどの時候でもありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...さりとて、茂太郎のが厳密にいって、歌であるかどうかは甚(はなは)だ疑問です...
中里介山 「大菩薩峠」
...さりとて留守と言わせたのでおりる事は出来ず...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...さりとて仕出(しだ)し頼(たの)みに行(ゆき)たらば何(なに)とかいふらん...
樋口一葉 「にごりえ」
...さりとて夏季の感をも起さず...
正岡子規 「俳諧大要」
...さりとては余り拙くや候べき...
正岡子規 「人々に答ふ」
...自分が体が変になって休むの)さりとて温泉へ出かけるのも進まず...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...さりとてはことわりなの世や」「メエルハイムはおん身が友なり...
森鴎外 「文づかい」
...さりとて貧しさをわざと標榜(ひょうぼう)しているのでもなく...
柳宗悦 「多々良の雑器」
...さりとて一気に攻めて...
吉川英治 「三国志」
...暑気あたりかとも思わるるが……さりとて...
吉川英治 「新書太閤記」
...「兄の謀叛気(むほんぎ)を、諫(いさ)めようにも間にあわず、さりとて、兄を見殺しにもできず、なおさら、兄を敵として戦えもせず、結果はこうと、兄貴の馬鹿芸を承知のうえでわれも与(くみ)したが――...
吉川英治 「新書太閤記」
...さりとて、金(きん)も蕭(しょう)も、手荒はちっともされなかった...
吉川英治 「新・水滸伝」
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