...さりとては珍らしき望なるかな...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...さりとてスキーをはいて三日目のお嬢さんが...
石川欣一 「山を思う」
...このまま 死ぬる なら 死んでも いいが、さりとて、 又未練の ある この人生...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...が、さりとて、妙に体が硬張(こわば)って、声を立てることも、動くことも出来ない...
大阪圭吉 「香水紳士」
...さりとていつまで此ところに...
田澤稲舟 「五大堂」
...さりとて、余命幾許(いくばく)もないこの病母が、もし落命したらばいったん葬式までも済ませた身の、いかに処置したらいいであろうか? 人の死をみだりに第三者が、論議することは差し控えたい...
橘外男 「仁王門」
...何方(どちら)も左程悪い人間と言ふではないが、否、現に今も子息(むすこ)の事を苦にして、村の者に顔を合せるのも恥しいと山の中に隠れて出て来ぬといふやうな寧(むし)ろ正直な人間ではあるが、さりとて、又、祖父祖母のやうな卓(すぐ)れて美しい性質は夫婦とも露ばかりも持つて居らなかつたので、母方の伯父(をぢ)といふ人は人殺をして斬罪(ざんざい)に処せられたといふ悪い歴史を持つて居るのであつた...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...事の体(てい)を見ると、これはこのほど来、麓の里を脅(おびやか)したところの、子を奪われた猛禽(もうきん)の来襲に備えるべく村の庭場総代連が警戒の評議をこらすの席とも思われず、さりとて長浜、姉川、その他で見かけた一揆(いっき)の雲行きに似たところの人民の集合のような、鬱勃たる粛殺味(しゅくさつみ)も見えない...
中里介山 「大菩薩峠」
...さりとてしかるべき紹介を求めるよすがなどが...
中里介山 「大菩薩峠」
...さりとて之を以て最上の遣り方と推奨することにも多分の躊躇を感ずる...
中島敦 「南島譚」
......
樋口一葉 「別れ霜」
...さりとてどうすることも出来ない...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...さりとて枝豆は踏みたくなし...
久生十蘭 「生霊」
...さりとて学校の外塾には無論なし...
三宅花圃 「藪の鶯」
...さりとて無産階級の文学運動に対しては自分たちの属している社会層の小市民風な生活感情から共感がもてず...
宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第六巻)」
...さりとてその生涯に何か特別に優れたところがあったようには...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...さりとて問う言葉も...
吉川英治 「新書太閤記」
...一方の伊織は、あんなに声をからしても、誰も、泥棒に向おうとする正義の人がいないので、大人の卑劣さに愛想をつかしたが、さりとて、自分の力ではどうにもならないことも知っているので、これは早く中野村の草庵に帰ってあの近所の懇意な人々にも告げ、官へも訴えて、捕まえてやろうと考えた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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