...邪魔をしようともせず、さりとて、うちとけて挨拶(あいさつ)をしようともせず、道の片側に遠ざかったまま、老ガンパウダーのつぶれている目の側について、ゆるゆると歩を進めた...
ワシントン・アーヴィング Washington Irving 吉田甲子太郎訳 「スリーピー・ホローの伝説」
...さりとて新らしい本を切々買ひ込むなどゝ云ふ余裕のある読書家にあらず...
石川啄木 「閑天地」
...さりとて弁解の出来ることでもなし...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...さりとて、故意説にもなお疑わしき点なきにあらず...
井上円了 「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」
...さりとては辛抱強き坊主よとてお笑ひなされしかども...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...さりとて解釈をつけるのは別に難事ではなかった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...さりとて本音をはくのは恥(は)ずかしかった...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...さりとて、彼女をそのまま長く苦しめるのは堪らないことだった...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...さりとて立去りもならず...
中里介山 「大菩薩峠」
...さりとて、茂太郎のが厳密にいって、歌であるかどうかは甚(はなは)だ疑問です...
中里介山 「大菩薩峠」
...さりとて気味のわるい事もない...
夏目漱石 「草枕」
...さりとて留守と言わせたのでおりる事は出来ず...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...さりとて夏季の感をも起さず...
正岡子規 「俳諧大要」
...さりとて日本の政府には...
三浦環 「お蝶夫人」
...わたしも心淋しい――さりとて...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...さりとて、ここでぶざまな酔い崩れなど見せては後日(ごじつ)の笑われぐさ...
吉川英治 「私本太平記」
...――徳川どのの肚(はら)としては、あきらかに、この秀吉に、和を講じたいは山々なれど、自分から降参を申し出ては、面目立たぬし、さりとて、なお秀吉に立ち向う理由はおざらぬし……弱っておりますよ...
吉川英治 「新書太閤記」
...そして武蔵が、何を問う遑(いとま)もなく、とにかく今夜はご迷惑でも同宿ねがいたいといい、「さりとて、決して不審な者ではござらぬ...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索