...この頃のものはいかにも不経済のものでありました...
石原純 「ジェームズ・ワット」
...見ると、いかにも、そのしげみのかげに、ふたりのおとなが、手と足を、めちゃくちゃにしばられ、さるぐつわまではめられて、よこたわっていました...
江戸川乱歩 「少年探偵団」
...佐竹は太宰のすぐ傍にながながと寝そべり、いかにも、つまらなそうに眼玉をきょろきょろうごかしながら煙草をふかしていた...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...いかにも秋らしい感じがしました...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...やがて幽に聞える鐘の音が夏ながらいかにも寂しく...
永井荷風 「来訪者」
...私は父と母とが毎夜いかにも楽しそうに勉強しているのを見て...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...どうせ解りゃしません」私には断乎(だんこ)たるこの返事がいかにも不思議に聞こえた...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...いかにもしての恨みは日夜に絶えねど...
一葉 「暗夜」
...……御承知のとおり藤波というのはいかにも辛辣果敢(しんらつかかん)な人物...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...いかにもスッと止ったという感じが出ている...
藤島武二 「画室の言葉」
...いかにも気がなさそうな折々の出仕を続けていた事には変りはなかった...
堀辰雄 「姨捨」
...やっと平生のいかにも颯爽(さっそう)としたお姿に立ち返えられながら...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...その寫眞をそのあとで現像してみると、まだ使つてない二三枚を除いては、みんな淺間の寫眞で、最後に撮つたやつには、初秋の、白い、さわやかな雲だけが映つてゐたといふ……さういつた凄さを何處かその底にもつてゐる山だが、その淺間も、追分の供養塔などの立ち竝んだ村はづれ――北國街道と中山道との分(わ)か去(さ)れ――に立つて眞白な花ざかりの蕎麥畑などの彼方に眺めやつてゐると、いかにも穩かで、親しみ深く、毎日見慣れてゐる私の裡にまでそこはかとない旅情を生ぜしめる...
堀辰雄 「初秋の淺間」
...いかにも涼しげな緑の木蔭があつた...
堀辰雄 「牧歌」
...いかにも姿のよい子で...
堀辰雄 「ほととぎす」
...いかにも大きい都会の出来事の感じです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...徐州の太守に坐ったのか」いかにも意外らしく...
吉川英治 「三国志」
...いかにも」「――こうみてまいると...
吉川英治 「三国志」
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