...一齣一齣(いつせついつせつ)の上で云へばやはり戯曲的に力強い表現を得た個所がある...
芥川龍之介 「あの頃の自分の事」
...坐右の綺譚一册をとつて左の一齣を誦さずにはゐられない...
心猿 「荷風翁の發句」
...風間三千子が撮影した顔子狗の最期(さいご)を示すフィルムの一齣(ひとこま)を引伸し写真にして添付(てんぷ)した...
海野十三 「鬼仏洞事件」
...と取りかかつた一齣であつたが...
太宰治 「道化の華」
...帰りは静岡へ寄って老父や老母相手に一齣(ひとくさり)大村の懐旧談に花を咲かせました...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...――いづれにしても悲喜劇の一齣たるを免かれないものだつた...
種田山頭火 「行乞記」
...かの女はひとつのものからひとつのものへと大きく動いて行く自然の道程の一齣(いつく)として是非ともその墓に詣でなければならないのを感じたのであつた...
田山録弥 「百合子」
...」二 軍旗――第二齣(せつ)一同がコラント亭に到着して...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...劇の一と齣(こま)を眺めるやうに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その一齣はそのまま家にいる妻の方に伝わっているのではないかとおもえた...
原民喜 「美しき死の岸に」
...男純情の……等と時花唄(はやりうた)の一齣を自ら奏で且つ諷つてゐた...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...しからずんば某(なにがし)かよこせよといたぶるの一齣(ひとこま)あり...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...芥川さんの何かの小説に「読経を新内のように聴いていた」という一齣(ひとこま)がありましたね...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...そゞろポーがアッシャ館の一齣をさへ想起せりけり...
正岡容 「山の手歳事記」
...投扇の起源という一齣(ひとくさり)まで読んで聞かせました...
吉川英治 「江戸三国志」
...少年の日の思い出の一齣(ひとこま)として...
吉川英治 「平の将門」
...あの美しくも酷(むご)たらしい一齣の場面だけであって...
蘭郁二郎 「鱗粉」
...シナの思想史上最も注目すべき一齣(いっせき)たる禅宗は...
和辻哲郎 「孔子」
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