...風邪で鼻水が出たので、鼻紙を使った...
...あの人はいつも鼻紙を持ち歩いている...
...鼻紙がないと不安で外出できない...
...一つ鼻紙を貸してくれませんか?...
...鼻紙が手元になくて、袖で鼻をかんでしまった...
...煙草盆を並べて、もう一つ、黒塗金蒔絵(きんまきえ)の小さな棚を飾って、毛糸で編んだ紫陽花(あじさい)の青い花に、玉(ぎょく)の丸火屋(まるぼや)の残燈(ありあけ)を包んで載せて、中の棚に、香包を斜めに、古銅の香合が置いてあって、下の台へ鼻紙を...
泉鏡花 「婦系図」
...それからそれを鼻紙に包んだ...
海野十三 「少年探偵長」
...やわらかい鼻紙を懐(ふところ)に入れているのを見て...
太宰治 「新釈諸国噺」
...」と母に言い、山育ちの娘も本能として、少しは親を大事にする気持があるらしく、その日から娘二人は、山男の身なりで、おどけ者の妹は鍋墨(なべずみ)で父にそっくりの口髭(くちひげ)など描いて出かけ、町人里人の弱そうな者を捜し出してはおどし、女心はこまかく、懐中の金子(きんす)はもとより、にぎりめし、鼻紙、お守り、火打石、爪楊子(つまようじ)のはてまで一物も余さず奪い、家へ帰って、財布の中の金銀よりは、その財布の縞柄(しまがら)の美しきを喜び、次第にこのいまわしき仕事にはげみが出て来て、もはや心底からのおそろしい山賊になってしまったものの如く、雪の峠をたまに通る旅人を待ち伏せているだけでは獲物が少くてつまらぬなどと、すっかり大胆になって里近くまで押しかけ、里の女のつまらぬ櫛笄(くしこうがい)でも手に入れると有頂天になり、姉の春枝は既に十八、しかも妹のお転婆(てんば)にくらべて少しやさしく、自身の荒くれた男姿を情無く思う事もあり、熊の毛皮の下に赤い細帯などこっそりしめてみたりして、さすがにわかい娘の心は動いて、或る日、里近くで旅の絹商人をおどして得た白絹二反、一反ずつわけていそいそ胸に抱いて夕暮の雪道を急ぎ帰る途中に於いて、この姉の考えるには、もうそろそろお正月も近づいたし、あたしは是非とも晴衣(はれぎ)が一枚ほしい、女の子はたまには綺麗(きれい)に着飾らなければ生きている甲斐(かい)が無い、この白絹を藤色(ふじいろ)に染め、初春の着物を仕立てたいのだが裏地が無い、妹にわけてやった絹一反あれば見事な袷(あわせ)が出来るのに、と矢もたてもたまらず、さいぜんわけてやった妹の絹が欲しくなり、「お夏や、お前この白絹をどうする気なの?」と胸をどきどきさせながら、それとなく聞いてみた...
太宰治 「新釈諸国噺」
...ふところから鼻紙を出してはなをかむんだよ...
新美南吉 「病む子の祭」
...途(みち)に落ちた鼻紙にも驚き...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ちよいとやつてくれ」「親分が書きアいゝでせう」「俺の字ぢや納(をさ)まらない事があるんだ」鼻紙を一枚...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...――此家で使つて居る鼻紙を一枚貰ひたいが」「お易い御用で」お雪は笑ひ乍ら...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...書いたものがありますよ」ガラッ八は鼻紙に消炭(けしずみ)で書いたのを押入の隅から拾いました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...兎も角これだけは集めて來ましたがネ」鼻紙をひろげると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それは今の全財産ですが――鼻紙にひねって...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...鼻紙で顔を押えて泣き声を忍んでいる様子であったが...
夢野久作 「暗黒公使」
...机上中央には鼻紙と覚(おぼ)しく...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...濡れ鼠で舞いこんで来やがって、いうことは大きいが、どうも容子(ようす)がおかしいと、今、亭主と女たちで、着物持ち物を調べてみたら、ビタ一文、鼻紙一帖、持ち合せてもいねえという...
吉川英治 「大岡越前」
...鼻紙があったらくれよ」「鼻紙か」三人はそこで...
吉川英治 「大岡越前」
...鼻紙へこう書いて...
吉川英治 「新書太閤記」
...『お持物、式服を、頂戴(ちょうだい)する』『…………』黙然と、うなずいて、彼はまだ着た儘であった大紋を脱ぎ、烏帽子(えぼし)、鼻紙、小(ちい)さ刀(がたな)、扇子など、すべてを揃えて、田村家の家臣に渡した...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...……」私は財布から紙幣を取り出して鼻紙に包みながら...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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