...空気の蒸せた黴(かび)臭い例のにおいが室に満ちてる...
伊藤左千夫 「浜菊」
...というのはこの黴(かび)くさい陰気な室が大変気に入ってしまったからである...
海野十三 「階段」
...プーンと黴(かび)の生えた匂いのする古い図書が何万冊となく雑然と積みかさねられてあったのである...
海野十三 「蠅男」
...怖ろしい黴菌とやらを...
薄田泣菫 「茶話」
...身のまはり――身そのものが黴だらけになる...
種田山頭火 「其中日記」
...黴菌(ばいきん)がだんだん悪ずれがして来て黴菌の「ヒト」が悪くなるせいでもなさそうである...
寺田寅彦 「変った話」
...黴菌類はこれに遇えば皆死んでしまう...
寺田寅彦 「話の種」
...畳(たたみ)を拭くと新しい雑巾(ぞうきん)が黴(かび)で真黒になった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...もう黴の生えて居る研究であります...
内藤湖南 「支那歴史的思想の起源」
...其(その)間(あひだ)に彼(かれ)は黴毒(ばいどく)を病(や)んだ...
長塚節 「土」
...その隱れ場はしかし黴のにほひがした...
堀辰雄 「鼠」
...黴(かび)くさい納戸の空気に浸れば...
本庄陸男 「石狩川」
...黴の生えた中国古代の学説を借りて来て...
武者金吉 「地震なまず」
...小さく巻き合わせた手紙の反古(ほご)の黴(かび)臭いのを袋に縫い入れたものを弁は薫に渡した...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...かれの予測した古い黴(かび)のような匂いや...
室生犀星 「幻影の都市」
...まるきり陽の目をみないこの小部屋はしょっちゅう黴臭く...
矢田津世子 「鴻ノ巣女房」
...黴(かび)くさい部屋の中に...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...又は黴毒(ばいどく)に犯された個所の明瞭なもの)――――精神病で滅亡した家の宝物になっていた応挙(おうきょ)筆の幽霊画像――――磨(と)ぐとその家の主人が発狂するという村正(むらまさ)の短刀――――精神病者が人魚の骨と信じて売り歩いていた鯨骨の数片――――同じく精神病者が一家を毒殺する目的の下に煎(せん)じていた金銀瞳(め)の黒猫の頭――――同じく精神病者が自分で斬り棄てた左手の五指と...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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