...それはもちろん黴菌(ばいきん)のような微生物を見ることのできる顕微鏡がだんだんに発達してからのことであるのは云(い)うまでもありません...
石原純 「ルイ・パストゥール」
...プーンと黴(かび)の生えた匂いのする古い図書が何万冊となく雑然と積みかさねられてあったのである...
海野十三 「蠅男」
...お上りな」私達は黴臭(かびくさ)い真暗な廊下を幾曲(いくまが)りかしてとある広い部屋に通された...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...味噌は黴(かび)さへ我慢したら何時までも食べられる...
薄田泣菫 「茶話」
...われわれがそれであるところの古い黴(かび)くさいチーズの味をあらためて相手に味わわさせる...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...手術の時に悪い黴菌(ばいきん)が這入(はい)ったらしいて...
谷崎潤一郎 「細雪」
...その病気は他の膿瘍中の黴菌(ばいきん)が取付くので...
谷崎潤一郎 「細雪」
...黴といふものは有毒無毒にかゝはらずほんたうに嫌なものだ...
種田山頭火 「其中日記」
...黴(かび)の生えないようにする必要があるという至極平凡なことを...
寺田寅彦 「二科展院展急行瞥見記」
...チャイナ中国の貿易船のネズミとゴキブリだらけの黴臭えおんぼろ箱のなかで終わるとかありえねえ...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 三上於菟吉訳 「グローリア・スコット号」
...一面に白く乾いた茸(きのこ)の黴(か)び着いている井戸側(いどがわ)を取破(とりこわ)しているのを見た...
永井荷風 「狐」
...黴臭(かびくさ)く淀んだ大納戸の空氣は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...黴臭い湿った空気がどんよりと淀んでいて...
久生十蘭 「魔都」
...處々に黴が生えて實に不快な臭がする...
松本文三郎 「印度の聖人」
...それでも其の影に映つてゐる間だけ、周三の頭から、黴(か)びて、陰濕(じめ/″\)したガスが拔けて、そして其の底に灰(はひ)の氣に籠(こ)められながら紅い花の揺(ゆら)いでゐるのを見るやうな心地になつてゐた...
三島霜川 「平民の娘」
...蟻どもは穀粒などが黴(か)びてすえてくるのを見ると...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...黴(か)びたりといえども蓬莱豆...
柳田国男 「雪国の春」
...白い毛に似た黴が長く突っ立って生えている...
横光利一 「旅愁」
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