...平生から氣の合はない同僚を、犬だの、黴菌だの、張子(はりこ)だの、麥酒罎だのと色々綽名をつけて、糞味噌に罵倒する...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...黴くさい医学書が山のように積みあげられ...
海野十三 「生きている腸」
...黴臭(かびくさ)い臭ひのする蚊帳を取り出した...
鈴木三重吉 「桑の実」
...怖ろしい黴菌とやらを...
薄田泣菫 「茶話」
...われわれがそれであるところの古い黴(かび)くさいチーズの味をあらためて相手に味わわさせる...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...雪解(ゆきどけ)の雫(しずく)すれ/\に干蒲団(ほしぶとん)大正十年厚板(あついた)の錦(にしき)の黴(かび)やつまはじき新しき帽子かけたり黴の宿大正十年新涼(しんりょう)の月こそかかれ槙柱(まきばしら)大正十一年八月三十一日 川崎俳句会主催新涼句会...
高浜虚子 「五百句」
...全身に黴菌(ばいきん)が...
橘外男 「仁王門」
...材料がだんだん古く黴(かび)が生えていくような気がする...
田山花袋 「『田舎教師』について」
...何かの機会にはえ以外の媒介によって多量の黴菌を取り込んだときでもそれに堪えられるだけの資格が備わっているのかもしれない...
寺田寅彦 「自由画稿」
...その黴をも神聖なものと見なすことがあるが...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...黴(かび)がはえたようにそのくぼみに埃(ほこり)がたまる――ある時...
長谷川時雨 「木魚の顔」
...評判だけのことはあるようですわ! 子供には黴(かび)のはえた麺麭(パン)をあてがっておいて...
久生十蘭 「キャラコさん」
...黴毒で眼の潰れたやくざな父親と...
水野仙子 「醉ひたる商人」
...多くの菌類や黴菌(ばいきん)は...
南方熊楠 「十二支考」
...黴あるものはその上皮を削去りて料理に用ゆべし...
村井弦斎 「食道楽」
...かれの予測した古い黴(かび)のような匂いや...
室生犀星 「幻影の都市」
...シラトリ醤油の表面に浮ぶ白い黴(かび)を...
柳田國男 「食料名彙」
...「寒の水で搗(つ)いたから黴(かび)やしめえと思うが...
山本周五郎 「柳橋物語」
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