...しばらくは互いに顔を見合わすのもはばかって黙ったままでいた...
有島武郎 「或る女」
...」エルアフイはしばらく回想に耽(ふけ)つて、黙り込んでゐた...
犬養健 「亜剌比亜人エルアフイ」
...妻がその著「黙移」の中で詳しく述べているから...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...大洋がいつかはその中に沈んでいる死者を………… 新約全書ヨハネ黙示録第二十章第十三節に「海その中の死人を出し‥‥彼等おのおのその行いに循いて審判(さばき)を受けたり...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...非常な沈黙がこの氷の海に充(み)ち満ちているのである...
ドイル Arthur Conan Doyle 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...気が向かないと黙り込んでばかりいるって...
豊島与志雄 「反抗」
...相手は私の顔を不思議想に凝乎黙って瞶めて居りましたが...
西尾正 「陳情書」
...黙って頭をかいていると...
野村胡堂 「胡堂百話」
...黙って白い眼をしております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「……」やっぱり黙ったまんま後戻りして黙って下駄をぬいだ...
正岡容 「小説 圓朝」
...黙あって考えてら...
三好十郎 「おりき」
...黙つて入つて来る...
三好十郎 「疵だらけのお秋(四幕)」
...」私は黙ってしまった...
室生犀星 「童子」
...又四五町行った頃四辻へ出たが、今まで黙々と考え乍ら歩んでいた春日は急に晴やかな顔をすると、懐中(ポケット)を探って煙草に火を点けて、勢いよく角家(かど)の「貸家老舗(しにせ)案内社」と染抜いた暖簾(のれん)を潜った、そして特別料金を払って、仔細に一枚々々綴込帳を調べた上二十分も経ってから、「お女将(かみ)、こちらの赤線(あかすじ)で消した分は、いつ頃約束済になったのです」「エー……それは一週間程になりますねえ」「ではこちらの方は?」「それは一昨日お手打が済みました」春日は自ら手帳を出しこれを写して、そこを出ると懐中(ポケット)から時計を覗かせて、ちょっと眺めると、突如(いきなり)どしどし急速に歩き出したので、渡邊は呆れて眼を円くしながら、後れじと跡を逐(お)わねばならなかった、十分間もこんな状態が続くと、春日は△△中学校と門標のある中へサッサと這入り、名刺を出して校長に面会を求め、少時(しばらく)何か話していたが軈(やが)て生徒名簿を借受けて、拡げ出した、或一頁を読耽(よみふけ)っているから、渡邊が速記簿を出そうとすると、春日は黙って、首を振って静かに名簿を閉じると同時に、放課の鈴(りん)を小使が振った...
山下利三郎 「誘拐者」
...われわれはかかる諸卿の言葉に黙従してゐる子であつたとしたならば...
横光利一 「絶望を与へたる者」
...それぞれ胸倉をひっ掴まれたように急に黙ると沈み込んで羊を切った...
横光利一 「旅愁」
...刑部は、しかしまだ輿のうちに、黙然と、坐していた...
吉川英治 「大谷刑部」
...まもなく、彼は酔いもえず、水分(みくまり)の山館を辞して、黙々と、馬を龍泉の家へ返していた...
吉川英治 「私本太平記」
便利!手書き漢字入力検索