...全(まる)で黒鯛の恰好ですね...
石井研堂 「元日の釣」
...鯉(こい)は、「三日に一本」と、相場の極ツてる通り、溢(あぶ)れることも多いし、鱚(きす)、小鱸(せいご)、黒鯛(かいず)、小鰡(いな)、何れも、餌つきの期間が短いとか、合せが六ヶ(むつか)しいとか、船で無ければやれないとか、多少おツくうの特点有るですが、鮒つりばかりは、それが無いです...
石井研堂 「元日の釣」
...肝油その他の臓器製薬の効能が医者によって認められるより何百年も前から日本人は鰹(かつお)の肝を食い黒鯛(くろだい)の胆(きも)を飲んでいたのである...
寺田寅彦 「日本人の自然観」
...蛸と黒鯛は血を荒すが故に女子の禁物とするものなり...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...そして黒鯛とか鱸とかいう有りふれた魚までもここでは皆燦爛たる光彩を放っているのであった...
中谷宇吉郎 「雑魚図譜」
...黒鯛は沢山集つて来てその周囲に待つてゐる...
中谷宇吉郎 「真夏の日本海」
...ちょっとでも愚図愚図していたら黒鯛にとられてしまうので...
中谷宇吉郎 「真夏の日本海」
...黒鯛の方は平気である...
中谷宇吉郎 「真夏の日本海」
...黒鯛(くろだい)の変化を喜こんでまた岸に上(のぼ)った...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...吉田さんのおじさんは、黒鯛を昨日、船橋でおかいになって、それを僕の家に持って来て下さったのだそうです...
林芙美子 「お父さん」
...黒鯛、黒鯛...
林芙美子 「お父さん」
...黒鯛は大きい眼をしています...
林芙美子 「お父さん」
...「黒鯛っておさかな...
林芙美子 「お父さん」
...第一、黒鯛なんて、おさかなにおめにかかったのは、今朝がはじめてで、いままで絵でみたくらいなもので、たべたこともなかったのだもの‥‥」「健ちゃん待っててね、出来ても待っててね」「ああいいよ、そのかわり静子が出来たら待っているんだよ」二人はかたく約束しました...
林芙美子 「お父さん」
...紀というのは黒鯛釣りに夢中です...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...○本文の如く魚類をシタフェと為すには鯛、黒鯛、鱸、甘鯛等淡泊なる魚をよしとす...
村井弦斎 「食道楽」
...その貝類から思いついて、二、三の人々が計画したのは民間で初めての水族館、場所は今の三友館のある一角で、鉤(かぎ)形に百余坪の平家建て、入口の作り庭に件の貝類をことごとく飾りつけ、館内はすべて岩組の海底のさま、当時漆喰(しっくい)細工の名人と知られた伊豆の長八が鏝(こて)先の腕を揮(ふる)って、さながら真物の岩窟、その両側へ所々ガラス張りの魚槽を設け、品川沖から船で海水を運んで放養したのは、鯛、黒鯛を始め、河豚(ふぐ)、コチ、アナゴ、マンボウなど海魚の数々...
山本笑月 「明治世相百話」
...手釣りの黒鯛を沖で叩いて締めた刺身...
横光利一 「旅愁」
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