...唯(た)だ黒烟の戸窓(とまど)より溢れて...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...之に次ぐに爆然たる轟鳴と古綿の如き黒烟の猛烈なる射出を以てし...
石川成章 「櫻島噴火の概況」
...熔岩が噴火口より迸流する際は殆んど白熱の状態にある粘著性熔液として火口上に盛り上り遂に倒れ崩るるの状を爲して下方に流下するや否や火口底には爆然たる轟鳴起り同時に火山灰より成れる黒烟驀然として恰も砲門より古綿を發射するが如く高く空中に擲出せられ...
石川成章 「櫻島噴火の概況」
...ぽっ/\と黒烟(くろけむり)が立ち昇って...
稲垣巖 「父八雲を語る」
...いく手にはすでにもうもうと火事の黒烟(くろけむり)が上っていたと言っています...
鈴木三重吉 「大震火災記」
...駒形一円を黒烟に包んで暴(あば)れ狂って来た...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...「地理纂考」によると、「安永八年己亥十月朔日、桜島火を発し、地大に震ひ、黒烟天を覆ひ、忽(たちま)ち暗夜の如し、五日経て後、烟消え天晴る、十四日一島湧出す、其翌年七月朔日水中に没す、是を一番島と言ふ、同十五日又一島湧出す、是を二番島と言ふ、俗に猪子島と称す、己亥十月化生の故なり、同十一月六日の夜、又一島湧出す、是を三番島と言ふ、同十二月九日夜、又一島湧出す、是を四番島と言ふ、三四の両島は硫黄の気あり、因て俗に硫黄島と称す、同九年庚子四月八日、二島相並び又湧出す、五月朔日に至つて自ら合して一島となる、是を五番島と言ふ、今俗に安永島と称す、同六月十一日又一島湧出す、是を六番島と言ふ、同九月二日又一島湧出す、是を七番島と言ふ、同十月十三日又一島湧出す、是を八番島と言ふ、後七八の両島合して一島となれり、因て併せ称して六番島と言ふ、(略)炎気稍退き、五島全く其形を成す、即ち其二番三番四番五番六番の五島、併せて新島と名づく、其中五番島最大にして其周廻二十町、高さ六丈なり、草木発生し、水泉迸出す、於是(ここに)寛政十二年閏四月、島(桜島)民六口を此島に移す」としてあって、大小こそあれ八島の湧出したことは、大八洲成生の伝説を髣髴(ほうふつ)さすものではないか...
田中貢太郎 「日本天変地異記」
...黒烟(くろけむ)高くなびかせて麓の里の日を奪ひ紅蓮(ぐれん)焔の波あげて星なき暗の空をやく火山の姿君見ずや...
土井晩翠 「天地有情」
...吾人はただ西天を睨(げい)してその黒烟(こくえん)の上るをまつのみ...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...実にかの諸製造所の烟筒より吐き出(い)だす万丈の黒烟は敵を報ずる烽火台(ほうかだい)のごとく...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...黒烟(こくえん)を吐いて本牧(ほんもく)の沖に消えて行く巨船の後ろ影を見送っているうちに...
中里介山 「大菩薩峠」
...――櫓の窓から黒烟(けむ)りが吹き出す...
夏目漱石 「幻影の盾」
...炎(ほのほ)につゝまれて身(み)は黒烟(くろけふ)りに心(こゝろ)は狂亂(きやうらん)の折(をり)ふし...
一葉女史 「大つごもり」
...炎につゝまれて身は黒烟りに心は狂亂の折ふし...
樋口一葉 「大つごもり」
...黒烟(くろけぶり)焔々(えんえん)と顔に漲(みなぎ)るところを見てはとても鎮火しそうも無かッたのも...
二葉亭四迷 「浮雲」
...硫黄臭い黒烟のうづまく底に...
水上瀧太郎 「山を想ふ」
...昼夜兼行の黒烟(くろけむり)を揚げていた...
夢野久作 「オンチ」
...黒烟に眼も眩(くら)むばかりに反映して...
夢野久作 「オンチ」
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