...風もなく火の気もなき黒本尊より突如怪火を発し...
橘外男 「蒲団」
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内藤鳴雪 「鳴雪句集」
...本堂の後ろの黒本尊もやはり跣足で這入ったものである...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...その書物というのは、白雲の求むるところのものとは違って、旧来ありきたりの赤本、黒本、金平本(きんぴらぼん)、黄表紙、洒落本(しゃれぼん)、草双紙、合巻物(ごうかんもの)、読本(よみほん)といった種類のものをこみで一手に集めて来たものらしいから、白雲は、「こりゃ大変だ」といって手に触れず、「洋学の本はないかね、横文字の……」「へえ、洋学の方でございますか、左様でございます、華英通語はこのあいだ差上げましたかしら……」「うむ、あれは貰ったよ」「では、築城と石炭のことを書いた翻訳書が二三冊ございますが……」「築城と石炭――それは少し困る、何かほかに向うの歴史、風俗、絵のことなどがわかるといったような書物はないかい」「左様――」亭主はあれかこれかと店と書棚を見廻し、「ここに一冊、唐人往来というのがございます……」「何だい、それは――」「この通り写本でございますが、これになかなか、あちらのことが詳しく書いてあって面白いと皆様がおっしゃいます」「どれ――」田山白雲は二十枚綴ばかりの写本を、亭主の手から受取りました...
中里介山 「大菩薩峠」
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