...顔は充血して黒ずみ...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「オスカー・ブロズキー事件」
...西空から差し出てきた積乱雲が、むくむくと脹れ上り、渦巻き黒ずみ、周辺の白銀の一線も消え、引きちぎられたように乱れ流れて、やがて天城山までも蔽いつくすと、一陣の凉風と共に、大粒の雨がさーっと来た...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...黒ずみ皺だった幹...
豊島与志雄 「古木」
...風雨に曝されて黒ずみ...
豊島与志雄 「狸石」
...鉢の泥は肥えて黒ずみ...
豊島与志雄 「蓮」
...帽章は火薬に黒ずみ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...黒ずみたる背景の山水に鮮明なる衣裳の色彩を対照せしむる事あり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...天井低くして壁は黒ずみたれど...
永井荷風 「夜あるき」
...兜が揺れあがり、口髭は黒ずみ、両眼は瞑られて、睫毛が伏さつてゐる――彼はまどろんだまま、夢うつつで手綱を握つてゐるのだ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...すでにもう黒ずみかけた壁板すらも見せていた...
堀辰雄 「風立ちぬ」
...二三の花はまだ彼等の花のデリケエトな氣泡(bulles)を葵色(モオヴ)の高い枝付燭臺のやうに噴出(effusaient)させてゐたけれど、つい一週間前まではその香ばしい泡(mousse)が逆卷いてゐた(dferlait)それ等の葉の多くの茂みの中では、空虚(うつろ)な、ひからびた、香りのない泡(cume)が、ちぢまり、黒ずみながら、萎んでゐた...
堀辰雄 「プルウストの文體について」
...部屋は黒ずみ薄汚れ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...皮膚はなめし革のように黒ずみ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...黒ずみながら遊苑になるあたりである...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「小フリイデマン氏」
...黒ずみ疲れはてたやうに...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...すぐ窓際に枝をひろげた二本の樫のわかばは、もはや細かい小鮒のやうに反り返つて風にゆれてはゐない、わかばは黒ずみ、葉のこはばりは搖れるに柔らかさを失くした...
室生犀星 「末野女」
...一方に臓腑は腹の皮と一緒に襤褸切(ぼろき)れを見るように黒ずみ縮んでピシャンコになってしまい...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...六七軒の家並を出はずれると眼の前には斜めに広く黒ずみ渡った林が見られた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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