...黒々と成育し分蘖(ぶんけつ)しはじめた一つの稲株を見ると...
犬田卯 「米」
...筋骨逞(たく)ましい大兵(だいひょう)肥満の黒々(くろぐろ)した巨漢と振袖然(ふりそでぜん)たる長い羽織を着た薄化粧したような美少年と連れ立って行くさまは弁慶と牛若といおう乎(か)...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...黒々とした闇が海と空とを包んでゆきました...
海野十三 「太平洋雷撃戦隊」
...そこには、いつのまに、だれが書いたのか、墨黒々と、大きな「3」の字があらわれていたのです...
江戸川乱歩 「少年探偵団」
...黒々と鉄漿(おはぐろ)を附けた...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...その野菜畠の向うには百姓家が二三軒黒々と影をにじませている...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...海辺に黒々と人だかりがしているのでそこへ行って見ると...
知里真志保 「あの世の入口」
...夜の影は広々とまた黒々としていた...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...黒々とした腰越あたりの山の端から...
豊島与志雄 「人間繁栄」
...夏目漱石君などと云うような名前が墨黒々と書いて壁に貼(は)りつけてある...
夏目漱石 「中味と形式」
...野草があたり一面に黒々と生ひ繁つて...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...黒々とそびえ立っているばかりだ...
平田晋策 「昭和遊撃隊」
...教室の柱や壁には生徒達のいたづら書きの痕(あと)が黒々と染(し)み込んでゐた光景を思ひ出す...
宮地嘉六 「ある職工の手記」
...高山のは大根畑の土の黒々としたゆたかさ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...その表面には墨黒々と左(さ)のような文句が記されて...
夢野久作 「暗黒公使」
...黒々とした無数の泡粒を密集させた河の水面は...
横光利一 「上海」
...そして空地の一隅に黒々かたまっている多勢のうしろに佇(たたず)んだ...
吉川英治 「新書太閤記」
...窓から映(さ)す残月が町屋根を黒々浮かしている...
吉川英治 「新・水滸伝」
便利!手書き漢字入力検索