...後は闇々黒々、身を動かせば雑多な浮流物が体に触れるばかりである...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...東山の影は黒々と眠って居たが...
岩本素白 「六日月」
...同じ様に線路に沿って黒々と横わった...
大阪圭吉 「気狂い機関車」
...遠く水平線のあたりにジワジワと湧き出したような微光を背にして夥しい禿山の起伏が黒々と果しもなく続くばかりでどこかこの世ならぬ地獄の山の影絵のよう...
大阪圭吉 「白妖」
......
高見順 「死の淵より」
...入学証書と云ったような幅一尺五寸長(たけ)二尺ほどの紙に大きな活字で皇帝や総長の名を黒々と印刷したものを貰ったが文句はラテン語で何の事か分らない...
寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
...月のない星空を黒々と山らしいものの影が聳(そび)えているだけだ...
中島敦 「虎狩」
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中原中也 「在りし日の歌」
...半紙に墨黒々と朝妻船(あさづまぶね)とかいて貼(は)り出してあるから...
夏目漱石 「野分」
...黒々と鉄漿(かね)をつけた...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...黒々と陽に灼けたスポーティな顔にうかんでいるのは...
久生十蘭 「肌色の月」
...窓外には黒々とした山や森や川等の風景...
三好十郎 「おスミの持参金」
...その彼方には黒々とニジンだように見えるカラ松林がつづいています...
三好十郎 「樹氷」
...小さい蛇が黒々と一匹...
室生犀星 「不思議な国の話」
...ふりかえると洛外洛中の暗々黒々な一地界は...
吉川英治 「私本太平記」
...そして山科から京方面へ黒々と足利兵の逃げなだれが続くばかりで...
吉川英治 「私本太平記」
...血とも思えない血しおが月の光に黒々と...
吉川英治 「源頼朝」
...そこの谷川橋に、黒々と、霧につつまれた人影がかたまっていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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