...麦笛や四十の恋の合図吹く恋はものの男甚平(じんべい)女紺しぼり大正五年六月十一日 発行所例会...
高浜虚子 「五百句」
...・梨の花の明けてくる・咲いてゐる白げんげも摘んだこともあつたが・竹藪のしづもりを咲いてゐるもの・蕗をつみ蕗を煮てけさは麦笛ふく子もほがらかな里雑草ゆたかな春が来て逝く・播いてあたゝかな土にだかせる・おもひではあまずつぱいなつめの実・いらだたしい小鳥のうたの暮れてゆく・ぬいてもぬいても草の執着をぬく昨夜はとう/\徹夜...
種田山頭火 「其中日記」
...麦笛(むぎぶえ)を鳴らす音が時々聞こえて...
田山花袋 「田舎教師」
...麦笛を吹くような声でピーピーと鳴き立ててはベランダの前へ寄って来て...
寺田寅彦 「あひると猿」
...子供がぴいーッと吹く麦笛(むぎぶえ)に...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...子供の麦笛(むぎぶえ)...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...麦笛の平和な音を流してゆくのは...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
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野口雨情 「おさんだいしよさま」
...麦笛を吹いたのも...
長谷川時雨 「チンコッきり」
...やがて麦畑の向方から麦笛のやうな汽笛が響き...
牧野信一 「熱海線私語」
...」「ほんとうにさうかも知れませんね――ずつと前には、天気の好い……」ふと私は軽い上目を使つて、麦笛に似た声で、「天気の好い、静かな日には……」――春では明る過ぎる、秋では沁々とし過ぎる、夏・冬のどちらも知らない、追憶ではそれらのけじめを知らないたゞ麗かな日である、耳を澄ますと屹度どこからか伸びやかな何かの仕事の歌が聞えて来るやうな日である――「屹度何処かから井戸掘りの声が聞えて来ましたね...
牧野信一 「毒気」
...芹をつむ芹の沼べり今日もまためだかが浮いた肩あげの肩が細いとあの人はやさしく言つた名も知らぬ小鳥が鳴いた讃岐の山雲が通つたあの人は麦笛ふいた泪ぐみ昼月(つき)みて聴いた肩あげの肩も抱かずにあの人は黙つて去(い)つた芹かごの芹のかほりがしんしんと胸に沈んだ...
森川義信 「あの人」
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