...私がその鳥の名を訊くと、この薄倖な詩人は、身につまされたやうに顫ひ声になつて、「あれは杜鵑だ...
薄田泣菫 「独楽園」
...四いつの場合にも杜鵑は私にとつて形よりも声であつた...
薄田泣菫 「独楽園」
...杜鵑(ほととぎす)のあの一声は耳の食(じき)です...
高神覚昇 「般若心経講義」
...杜鵑(ほととぎす)の鳴くのが谷の方で聞えていた...
田中貢太郎 「竈の中の顔」
...親に似て性の悪い杜鵑の雛鳥に鋭い嘴で啄(つつ)き出されてしまうという...
寺田寅彦 「話の種」
...鳴くや杜鵑(とけん)のひと聲に五月雨いつかはれ行けばちぎれ/\の雲間よりやがてほのめく夏の月銀輪露に洗はれて我世すゞしとてるものをさめずや哀れをとめごよ...
土井晩翠 「天地有情」
...杜鵑(ほととぎす)が啼(な)いて行く夜もある...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...さりとて杜鵑(ほととぎす)二百句といふに至つてはさすがの先生...
正岡子規 「病牀六尺」
...二百羽の杜鵑をひつつかまへたといふのは一羽もひつつかまへないといふ事であるとは題見てもわかつて居る事であるのに...
正岡子規 「病牀六尺」
...をちかへりえぞ忍ばれぬ杜鵑ほの語らひし宿の垣根(かきね)にこの歌を言わせたのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...七八間(けん)歩くともう杜鵑(とけん)亭の前の空地(あきち)へ出た...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...杜鵑(とけん)亭の食堂の一つの卓を自分等は選んで席に着いた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...杜鵑(とけん)亭の食堂は即(すなは)ち道の入(い)り込んだ空地(あきち)なのであるから十四五分して小さい料理店の家の中から客を見附けた給仕女が布巾(ふきん)を持つて出て来て卓を拭く...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...巴里(パリイ)の一番高い土地の杜鵑(とけん)亭へ食事をしに来ることももう終りの度(たび)になるかも知れない...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...この杜鵑(とけん)と銘(なづ)けた一管を...
吉川英治 「篝火の女」
...さればとて杜鵑の鋭どさでは決してない...
若山牧水 「鳳來寺紀行」
...その中を啼いて渡る杜鵑の声...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...杜鵑(ほととぎす)も朝が滋い...
若山牧水 「山寺」
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