...田端(たばた)の音無川(おとなしがは)のあたりには冬になると何時(いつ)も鶺鴒(せきれい)が来てゐる...
芥川龍之介 「一番気乗のする時」
...鶺鴒も彼には疎遠(そえん)ではない...
芥川龍之介 「保吉の手帳から」
...いつの間に來たか流しの揚土に鶺鴒が一つ尾を動かして居る...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...それとは打つて変つて鶺鴒は多くの場合公園の散歩客のやうに夫婦づれだ...
薄田泣菫 「独楽園」
...べちやくちやと口やかましく囀りながら黄鶺鴒の後をつけ廻してゐる...
薄田泣菫 「独楽園」
......
武田祐吉 「古事記」
...右頬を軽く支えている五本の指は鶺鴒(せきれい)の尾のように細長くて鋭い...
太宰治 「風の便り」
...九月初旬三度目に行ったときには宿の池にやっと二三羽の鶺鴒(せきれい)が見られた...
寺田寅彦 「あひると猿」
...鶺鴒(せきれい)が鷹の子育てた話...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...枝葉の下に眠りに来る啄木鳥(きつつき)や鶺鴒(せきれい)の最後の声が聞こえていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...鶺鴒飛来る...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...それはこんな林の奧まで水溜りを傳つてきたらしい二羽の黄鶺鴒...
堀辰雄 「雨後」
...そうして私の前の小さな流れの縁を一羽の鶺鴒(せきれい)が寂(さび)しそうにあっちこっち飛び歩いているのにぼんやり見入っていると...
堀辰雄 「美しい村」
...鶺鴒(せきれい)が飛び交はしてゐたりしたが...
牧野信一 「繰舟で往く家」
...おおこれよこれよとその笠手にささげてほこらに納め行脚の行末をまもり給えとしばし祈りて山を下るに兄弟急難とのみつぶやかれて鶺鴒やこの笠たゝくことなかれここより足をかえしてけさ馬車にて駆けり来りし道を辿るにおぼろげにそれかと見し山々川々もつくづくと杖のさきにながめられて素読のあとに講義を聞くが如し...
正岡子規 「旅の旅の旅」
...所詮(しょせん)鶺鴒の絶えず尾を振るごとくせば...
南方熊楠 「十二支考」
...鶺鴒(せきれい)が淡い黄色を流して飛ぶ...
三好達治 「測量船」
...中庭の白砂に遊んでいた鶺鴒(せきれい)がそこを覗きかけて廂の外へそれたのだった...
吉川英治 「私本太平記」
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