...つひ五六日前まで毎日家のまはりに聞えてゐた鶺鴒の雄と雌と呼び交す澄んだやさしい聲が...
相馬御風 「孤座」
...山火事の天を焦(こが)して霜赤し蒼苔低く飛ぶ星あり今宵霜降らん東雲鶺鴒(せきれい)の尾にぞ霰(あられ)のはじかれし蒼苔橋に来てまたはら/\と霰散る花牛堂大いなる霰ころがりて縁に消えざる虚子玉霰忽(たちま)ち来り忽ち歇(や)む楽天京に入つて霰に笠を叩かれつ不迷物思ふ窓を霰に叩かれき不染あられうつ石峨々(がが)として水急なり霜磧こんな類(たぐい)であります...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...右頬を軽く支えている五本の指は鶺鴒(せきれい)の尾のように細長くて鋭い...
太宰治 「風の便り」
...もしかすると鶺鴒の群がこの辺の縄張を守っていて雀の侵入者を迫害するのではないか...
寺田寅彦 「浅間山麓より」
...枝葉の下に眠りに来る啄木鳥(きつつき)や鶺鴒(せきれい)の最後の声が聞こえていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...朝露(あさつゆ)に濡(ぬ)れた屋根瓦(やねがわら)の上を遠近(おちこち)と尾を揺(うご)かし歩く鶺鴒(せきれい)に佇ずんだ...
夏目漱石 「思い出す事など」
...鶺鴒(せきれい)が飛び交はしてゐたりしたが...
牧野信一 「繰舟で往く家」
...おおこれよこれよとその笠手にささげてほこらに納め行脚の行末をまもり給えとしばし祈りて山を下るに兄弟急難とのみつぶやかれて鶺鴒やこの笠たゝくことなかれここより足をかえしてけさ馬車にて駆けり来りし道を辿るにおぼろげにそれかと見し山々川々もつくづくと杖のさきにながめられて素読のあとに講義を聞くが如し...
正岡子規 「旅の旅の旅」
...鶺鴒(せきれい)が下りて來て長い尾を水に叩いてゐる...
水野仙子 「嘘をつく日」
...「神代巻」の鶺鴒(せきれい)の役を勤めて子を拵(こしら)える法を教えたので...
南方熊楠 「十二支考」
...両足下に猿と鶺鴒(せきれい)とを蹈ませて二手に剣を持たしめたり...
南方熊楠 「十二支考」
...石を投げられた鶺鴒(せきれい)みたいに...
吉川英治 「江戸三国志」
...中庭の白砂に遊んでいた鶺鴒(せきれい)がそこを覗きかけて廂の外へそれたのだった...
吉川英治 「私本太平記」
...鶺鴒を驚かしたのは...
吉川英治 「私本太平記」
...まるで鶺鴒(せきれい)のようにあたりを水だらけにしながら...
吉川英治 「新書太閤記」
...鶺鴒(せきれい)が下りて...
吉川英治 「親鸞」
...鶺鴒(せきれい)の尾のように風におののいていた...
吉川英治 「親鸞」
...水口につどへる群のくろぐろと泳ぎて鮒(ふな)も水もひかれりいしたたきあきつ蛙子あそび恍(ほ)け池にうつれる庭石の影まひおりて石菖のなかにものあさる鶺鴒(いしたたき)の咽喉の黄いろき見たり庭石のひとつひとつに蜥蜴(とかげ)ゐて這ひあそぶ晝となりにけるかな...
若山牧水 「樹木とその葉」
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