...子持ちの牛はその子を振り返り見てしきりに鳴くのである...
伊藤左千夫 「去年」
...チャアとばかり鳴くようになった...
高村光太郎 「木彫ウソを作った時」
...鶏の鳴くまで起きていた...
徳田秋声 「黴」
...梟(ふくろう)が鳴く日もある...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...蛙(かわず)鳴く田は紫雲英(れんげそう)の紅(くれない)を敷き...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...鳥が鳴く、東の国に行き向い、千々の心を、尽しつつ荒びなす、醜(しこ)の醜臣(しこおみ)打ち払い、功業(いさお)立てなむ真心は、霞と共に大空に立渡りける「よう、よう」と一人が、叫んだ時、君不見(きみみずや)、方今天下転変の状内外上下都失倫(すべてみちをうしなう)「ちぇすとうっ」「舞うぞ」と、叫んで、有村が、影の閃く如く、座の真中へ出た...
直木三十五 「南国太平記」
...家のうしろでなに鳥かきゅうきゅうと鳴く...
中勘助 「島守」
...かのオシイツク/\と蟋蟀の鳴く聲ばかりであらう...
永井荷風 「蟲の聲」
...十日、火曜、快晴、寒からず、四時に目醒む、雨ざあ/\と降る、蛙鳴く、六時起床、けさだけ冷水浴やすみ、火鉢を擁して雜談、蛙のいま鳴くのは土中に在りて鳴くのだといふこと、鋸で鯰を捕るといふこと等、八時二十分發車、仙波兵庫といふ男が同室に乘込んで居た、父舊知だ相だ、代議士になつたのでみんなが不思議にして居たのである、尤も二十三年このかた選擧のたび毎に候補に立たないことがなかつたさうだ、つまり根氣で成功したのだ、しかし人物が屑なので困る、雨がやんだ、空がはれかゝつた、笠間驛へつく、父はこゝに下車、叔父の家へ行くのである、自分は乘りつゞける、岩瀬で仙波は下りた、紫の褪めきつた風呂敷包と、破れた鞄とを持つて居た、夕方にやうやく家へついた、表の廣間に妹の仕立物がならべてある、かね/″\見たいと村の者がいつて居たので女房達を呼んで見せたのだ相だ、もう大勢かへつた趾(ママ)で三四人しか居なかつた、茶の間には茶碗や盃が狼藉として居る、一升も熬つた豆が忽ちに平げられたといふ話である、子供達が學校から歸つて見に來た、彦といふ七八つの兒が感に堪へたさまで二拾錢銀貨二つかけた位は出たらうといつたので大笑ひをした、庭の梅散りしきて白し、十一日、曇、泣き出しさうなり、郵便左千夫より、日本週報課題春雨の歌に就いて詳細の論である、……今出たのを見ると君のは意外に少ない……君のは四首や五首ではあるまい、外の歌はどんな歌か見せ給へ、例令人々考が異りたりとて半數以上を削るは削る方が無理か詠者が無理かお互に少し注意せねばならぬと思ふ、實際歌がよくないとすれば半數も削られるやうな歌を送るは選者を困らせること少なからず、同人間ではこの邊少し考へねばならぬ……これがその冒頭だが、自分の作つたのは二十首で入選の歌は四首、半數どころか五分の一のみ、これは作者の惡いのであつた、返事を書かとしたが筆が澁つたのでよす、かういふことはたび/\である、頭のわるいこと醉へるが如くである、午後、至急の郵便を出すため宗道へ行く、斬髮、夜に入りてかへる、甘酒を作るために焚いた飯へ餡をのせてくふ、卵のふわ/\、葱と鰌の汁、樒柑(ママ)の霜よけ、牡丹の霜よけ取拂ふ、梅やゝだらける、自分の座敷へ箪笥や長持を運び込まれたので急に狹くなつた、十二日、木曜、朝雨、忽ちにして霽、午後、妹の鏡臺に手入れする所があつたので杉山の建具屋へ行く、貧乏な淋しい店先で自分はかゞんだまゝ見て居ると建具屋が突然立つて勝手の戸をあけるや否やひどい叫び聲をした、火が一面に燃え揚つて居た...
長塚節 「十日間」
...めぼそ(ぜにとり)がしきりに鳴く...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...萩に、ススキに、芙蓉(ふよう)が咲いて、昼の虫が、絶え絶えに鳴く...
野村胡堂 「胡堂百話」
...蚊の鳴くような声で叱りつけた...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...烏これを見て鳴くと...
南方熊楠 「十二支考」
...数ならぬみ島がくれに鳴く鶴(たづ)を今日もいかにと訪(と)ふ人ぞなきいろいろに物思いをいたしながら...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...にゃあんと鳴くようになった...
室生犀星 「懸巣」
...近々と寄り添うては鳴くのである...
柳田國男 「家を持つといふこと」
...鵺(ぬえ)は単に未明の空を飛んで鳴くために...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...いい火になった」「冬のようだな」「もう初時鳥(はつほととぎす)が鳴く頃なのに」「そういえば...
吉川英治 「江戸三国志」
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