...夫鳥の将に死せむとする其鳴くや哀し...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...……世の暗さは五月闇(さつきやみ)さながらで、腹のすいた少年の身にして夜の灯でも繁華な巷は目がくらんで痩脛(やせはぎ)も捩(ねじ)れるから、こんな処を便(たよ)っては立樹に凭(もた)れて、固(もと)からの耕地でない証(あかし)には破垣(やれがき)のまばらに残った水田(みずた)を熟(じっ)と闇夜に透かすと、鳴くわ、鳴くわ、好きな蛙どもが装上って浮かれて唱う、そこには見えぬ花菖蒲、杜若(かきつばた)、河骨(こうほね)も卯の花も誘われて来て踊りそうである...
泉鏡花 「遺稿」
...あっても鳴くかどうか...
泉鏡花 「海の使者」
...夢然は聞いたその鳥の聲を寫して唯「佛法佛法」と鳴くと書いてあつたので...
今井邦子 「佛法僧」
...一峯の數峯になりて時雨れけり落葉して武藏野遠し水明り飛ぶ鳥を追ひこす山の落葉かな伯勞鳴くや石の地藏の首が無きよかれ...
大町桂月 「國府臺」
...冷え行く竈に友もあらで節おのづからに蟋蟀鳴く...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...三疋の蜂が枕もとを飛びながら鳴く声であった...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「蓮花公主」
...「馬鹿に鳴くね...
田山録弥 「犬」
...ながい間をおいてぽつりぽつりと蚊の鳴くような声でいいだすのであった...
中勘助 「妹の死」
...鶏の鳴く音は常態でありますけれども...
中里介山 「大菩薩峠」
...鳩がくううくううと鳴く...
夏目漱石 「草枕」
...いとしやいとしやこの身の影に鳴く蟲のねんねんころりと鳴きにけりたれに抱かれて寢る身ぞや眞實我身は獨りもの三十になるといふその事の寂しさよ勘平さんにはあらねどもせつぷくしても果つべきかても因業なくつわ蟲...
萩原朔太郎 「蟲」
...だしぬけに怪鳥の鳴くような声で...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...一番鶏の鳴くのをきいて...
火野葦平 「花と龍」
...かわいい声で鳴くのにもなんとなく見た人に似た感じがするというのも多情多感というものであろう...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...羽根は鳴くだけの役目で滅多(めった)にたってゆくことがない...
室生犀星 「螽※[#「虫+斯」、第3水準1-91-65]の記」
...だから鳴く声がアチャトデタ...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...おれは夜鳴く虫の中で一番の大きな声なんだ...
夢野久作 「がちゃがちゃ」
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