...手ばやに塩だし鰹(かつを)かき...
芥川龍之介 「案頭の書」
...鰹節(かつおぶし)などは...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...刺身包丁を取り上げて魚屋の盤台の鰹(かつお)の片身から幅二分くらい長さ一尺近い細長い肉片を巧みにそぎ取った...
寺田寅彦 「KからQまで」
...肝油その他の臓器製薬の効能が医者によって認められるより何百年も前から日本人は鰹(かつお)の肝を食い黒鯛(くろだい)の胆(きも)を飲んでいたのである...
寺田寅彦 「日本人の自然観」
...御飯や鰹節をやった方がいいんです...
豊島与志雄 「変な男」
...途中見るところがありますか、いい景色がありますか、名物といったようなものが……」「左様――海岸の景色といっても大抵きまったようなものでござるが、大洗、助川、平潟(ひらかた)、勿来(なこそ)などは相当聞えたものでござんしょう」「ははあ、勿来の関……なんとなく意をそそられます」「お気が向いたら、ぜひ、お出かけ下さい、拙者宅に幾日でも御逗留(ごとうりゅう)くだされて、幾枚でもお描き下さい」相当の絵師と見定めてから、先生号で呼びかけ、その先生を自宅へ招じて、何枚でも描かせようとまで働いて来たのは、隅に置けないところがあるとおかしがり、「海岸の風景のほかに何か、名物、或いは、画の題になるものがありますか」「左様でござるな、この海岸で名物といっては、大洗に磯節というのがござり、海では、さんま、鰹(かつお)、鯖(さば)といったものが取れ、山には金銀を含むのがあり、土では、こんにゃくも取れ申す」実際家だけに、相当具体的に答えてはくれるが、さんまや、鯖や、こんにゃくでは、画題として、あんまり感心しないと、白雲が考えていると、測量師は附け加えて、「相馬へ行くと、馬がたくさんいる、生きた馬が放し飼いにしてござるが、あれは絵になりませんかな」「なりますとも」ここに至って、白雲は、鬣(たてがみ)を振い立つように雀躍(こおどり)しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...鰹節(かつぶし)をかけた一杯の飯を墓の前に供える...
夏目漱石 「永日小品」
...その鰹船が一つずつこの器械を具(そな)え付けるようになったら...
夏目漱石 「門」
...鰹船(かつおぶね)もあんまり儲(もう)からないようだから」と云った...
夏目漱石 「門」
...寒月君の前に鰹節(かつぶし)が三本...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...鰹節の善悪(よしあし)はわかりませんよ」「少し大きいのが名産たる所以(ゆえん)かね」「まあ食べて御覧なさい」「食べる事はどうせ食べるが...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...――金貸しの癖に初鰹魚(はつがつを)を買つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...蜀山人の狂歌の鎌倉の海より出し初鰹...
長谷川時雨 「初かつを」
...鰹節(かつをぶし)大(だい)の立派な伽羅の木を見せられた事があつたが...
林芙美子 「浮雲」
...鰹船が三崎の番所へ事件の顛末をうったえでると...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...顎十郎の見たところと鰹船の漁師の見たところと...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...ソーダ鰹より製したるは色黒し...
村井弦斎 「食道楽」
...果物でも、たとへば鮎みたいなものでも、鰹でも、食味の世界に、現代の都市人は、四季のおどろきを失つてしまつた...
吉川英治 「折々の記」
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