...既に沈を上げし上は一安心なり、早く挙げ終りて、船頭の苦みを除きたしと、引く時は、敵を怒らしめざるように処女の如く引き、引かるる時は、船まで引き去られん勢に逢い、鰓洗う声の、暗中に発する毎に、胸を刺さるる如き思いを為し、口食ひしめ、眼見張りて、両手は殆んど水に漬け続けなり...
石井研堂 「大利根の大物釣」
...鰓(えら)通して露はに之を提(さ)げ...
石井研堂 「釣好隠居の懺悔」
...図395は真鯵(まあじ)と鰓(えら)蓋と鰭とを示し...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...ちょっと鰓(えら)をあけて見たり...
梅崎春生 「凡人凡語」
...一時頸の両側に魚の鰓孔(えらあな)のごとき孔が幾対かできて...
丘浅次郎 「生物学的の見方」
...兵児(へこ)帯を縦に割(さ)いて魚(うを)の鰓(あぎと)を引(ひ)つ括(くゝ)つて...
薄田泣菫 「茶話」
...お前の鰓(あぎと)に黒金の覆輪があり...
高村光太郎 「智恵子抄」
...人びとはその鰓(あご)へ藤葛(ふじかずら)をとおして二人がかりで担(にな)って来た...
田中貢太郎 「岩魚の怪」
...ピンとするほどはかりをまけた鮒はヒクヒクと鰓(あぎと)を動かしている...
田山花袋 「田舎教師」
...思い出したように四五度慌しく鰓(えら)を動かしては...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...草鞋虫(わらじむし)は翼鰓虫となる...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...なかの男が獲物の鰓のところへ手をさし込んでぐつと小べりへ引きつけて...
長塚節 「利根川の一夜」
...四列か五列かの鰓孔を...
中谷宇吉郎 「異魚」
...外から鰓(えら)に引つ掛けてあつた――と斯う言ふんです」「フム?」「騷ぎと歎(なげ)きの中で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...青笹(あおざさ)の葉を鰓(あぎと)にはさんだ鯛(たい)であった...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...鰓(えら)から口にロープを通して...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...文化の古さに縫いつけた新しい鰓のように感じられた...
横光利一 「旅愁」
...わが心は魚(うを)ならねば鰓(えら)を持たず...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
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