...日本の鯉幟を眺めたのは...
芥川龍之介 「上海游記」
...鯉汁(こいこく)のお代りをして飯八椀を平らぐ...
押川春浪補 「本州横断 痛快徒歩旅行」
...小学最初級の友だちの、――現今は貴族院議員なり人の知った商豪だが――邸(やしき)が侍町にあって、背戸(せど)の蓮池で飯粒で蛙を釣る、釣れるとも、目をぱちぱちとやって、腹をぶくぶくと膨(ふくら)ます、と云うのを聞くと、氏神の境内まで飛ばないと、蜻蛉(とんぼ)さえ易(たやす)くは見られない、雪国の城下でもせせこましい町家に育ったものは、瑠璃(るり)の丁斑魚(めだか)、珊瑚の鯉、五色(ごしき)の鮒(ふな)が泳ぐとも聞かないのに、池を蓬莱(ほうらい)の嶋に望んで、青蛙を釣る友だちは、宝貝のかくれ蓑を着て、白銀(しろがね)の糸を操るかと思った...
泉鏡花 「遺稿」
...朝ッぱら鯉を釣っているじゃねえか...
泉鏡花 「婦系図」
...上って来たのは糖醋鯉魚(タンツーリーギョ)です...
梅崎春生 「ボロ家の春秋」
...釣りあげられた鯉のように「ああ……ああ……」と口を大きく開いて喘(あえ)いだ...
海野十三 「地球発狂事件」
...それならお鯉さんは少くとも嘘つきの悪名だけは雪げるわけである...
戸坂潤 「社会時評」
...鳩と亀と鯉とに戯れてる朗かな子供たちの写真を...
豊島与志雄 「風俗時評」
...信州で蛹(さなぎ)を喰う鯉を見た時には...
中谷宇吉郎 「由布院行」
...南の池に鯉あるべしとて探らせると果してあり...
南方熊楠 「十二支考」
...わけてもあやしい緋の鯉や蒼いのを見つめた...
室生犀星 「幻影の都市」
...「鯉(こい)かね」倉なあこがまた訊いた...
山本周五郎 「青べか物語」
...ダラリと垂れた鯉幟(こいのぼり)の姿が...
夢野久作 「空を飛ぶパラソル」
...早くもあの鯉幟の幻影が浮かみあらわれた...
夢野久作 「空を飛ぶパラソル」
...その鯉口を切って見よ...
吉川英治 「剣難女難」
...「はてな……」来たら――と脇差の鯉口(こいぐち)を切って...
吉川英治 「治郎吉格子」
...“玉壺春(ぎょっこしゅん)”やら金鱗(きんりん)の鯉やらで...
吉川英治 「新・水滸伝」
...長い野太刀の鯉口を左の手につかみながら...
吉川英治 「親鸞」
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