...下庭の池の緋鯉の泳ぐのを見てゐたのだ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...その蔭から大きな鯉が...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...今までゐた鯉はもうゐなくなつて鉛色の水がとろりとなつてゐた...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...「池には何よりも鯉が一番だわ...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...鯉の滝のぼりの浴衣をきた飴屋の男が うどどんどん と太鼓をたたきながら肩と腰とでゆらりゆらりと調子をとつてくるあとからあねさんかぶりをした女がぢやんぢやかぢやんぢやか三味線をひいてくる...
中勘助 「銀の匙」
...此の部落の下の湖を泳ぎ廻る鯉がシャクの口を假(か)りて...
中島敦 「狐憑」
...大きい鯉(こい)が...
中谷宇吉郎 「金鱗湖」
...それから神楽坂(かぐらざか)の毘沙門(びしゃもん)の縁日(えんにち)で八寸ばかりの鯉(こい)を針で引っかけて...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...鯉(こい)ちゃんとこのねえさんはね...
新美南吉 「病む子の祭」
...鯉幟りの魚を泳がすやうに...
萩原朔太郎 「宿命」
...古びた石垣の静かなたたずまい、土堤の形のよい松の姿、かすかな漣(さざなみ)を立てている濠、はねる鯉、柳の並木、空からさすやわらかな月光――そういうものが、すこしずつ、警察署でのささくれだった金五郎の気持をほぐして行く...
火野葦平 「花と龍」
...ただひとり彼らの頭上にささげ上げられて鯉のように横たわったまま...
牧野信一 「鬼涙村」
...脚もとの流れの上に巨大な鯉が跳ねたかと見えるが如き水煙があがつて...
牧野信一 「ベツコウ蜂」
...殊に後世に至るほどその傾向が甚だしくなつて純粋の模様を用ゐて善き場合にも波に千鳥とか鯉(こい)の滝上りとかそのほか模様的ならざる...
正岡子規 「病牀六尺」
...」鯉は、じっと水中に澄んで、落ちつき払って尾と鰭を震わせた...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...かれは緋鯉の丸っこい胴体が捩(ね)じられて...
室生犀星 「幻影の都市」
...運ばれて来た食事は、山女魚(やまめ)の田楽に鯉のあらい、甘煮と鯉こく、卵焼などであった...
山本周五郎 「追いついた夢」
...香炉(こうろ)か何かに鯉絵(こいえ)の彩管(さいかん)をとっていた...
吉川英治 「増長天王」
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