...ある時なぞは、窓のそとを通る女看守が、その連れて来た女の被告人か拘留囚かがちょっと編笠をあげて男どものいる窓の方を見たとか言って、うしろから突きとばすようにして叱っているのを見つけた彼は、終日、「伊藤の鬼婆あ、鬼婆あ、鬼婆あ!」と声をからして怒鳴りつづけていた...
大杉栄 「獄中記」
...軒さきに鬼婆みたいなのが立っていた...
高見順 「いやな感じ」
...私ひとりが鬼婆みたいに見られるの...
太宰治 「善蔵を思う」
...「そうとも、そうとも、鬼婆が恐いから、つい日が暮れたら泊ってくるが、なるだけなら夕方に帰って来るよ」寡婦はそれから男の子と末の子の頭を撫でながら云った...
田中貢太郎 「白い花赤い茎」
...「お母さんは鬼婆が怖いから...
田中貢太郎 「白い花赤い茎」
...鬼婆もこれを見ると...
田中貢太郎 「白い花赤い茎」
...「手前(てめえ)」とか、「くたばってしまえ」とか、「親不孝」とか、「鬼婆」とか、「子殺し」とか云うような有りたけの暴言が、激(げき)しきった二人の無思慮な口から、連(しきり)に迸(ほとばし)り出た...
徳田秋声 「あらくれ」
...「ああこれで、返事をするだろうな、鬼婆め...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...「あの鬼婆の憎い面(つら)を見ろ...
中里介山 「大菩薩峠」
...「あれは安達ヶ原の鬼婆の絵ではありませんよ」従来の説明を一挙に覆(くつがえ)したのは...
中里介山 「大菩薩峠」
...さすがの鬼婆も、間違って自分の最愛の娘をころしてしまったものですから、遽(にわか)に発心(ほっしん)して、ついに仏道に入ったというところをかいたもので、あのお稚児(ちご)さんは、その晩泊った旅人、実は観世音菩薩の御化身(ごけしん)が、強慾(ごうよく)な老婆をいましめの方便ということになっているのです」人だかりは崩れて、どやどやとお神籤場(みくじば)の方へ行ってしまったあとに、兵馬は、十徳の老人の後ろに、まだ額面をながめています...
中里介山 「大菩薩峠」
...もう鬼婆あも出まいが...
中里介山 「大菩薩峠」
...喜田先生の「安達ヶ原の鬼婆々」を讀んで...
中山太郎 「安達ヶ原の鬼婆々異考」
...安達ヶ原の鬼婆々の眞相だと私は考へてゐる...
中山太郎 「安達ヶ原の鬼婆々異考」
...『やつと鬼婆(ヤガ)めが帰りをつたな!』さう彼は...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...鶏の脚で立つた小舎露西亜の昔噺に出て来る鬼婆の棲家は...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...鬼婆のような口を見せたので...
吉川英治 「新・水滸伝」
...到底(とうてい)深入(しんにふ)することを得(え)ず古(いにしへ)より山中に恐(おそ)ろしき鬼婆(をにばば)ありて人を殺(ころ)して之を食(くら)ふ...
渡邊千吉郎 「利根水源探検紀行」
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