...光沢(こうたく)の美しいシルク・ハットをありありと目の前に髣髴(ほうふつ)した...
芥川龍之介 「十円札」
...我我の祖先は「神」と言う言葉に衣冠束帯の人物を髣髴(ほうふつ)していた...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...髣髴(ほうふつ)として浮び出したじゃありませんか...
芥川龍之介 「妖婆」
...今も髣髴(ほうふつ)と憶(おも)い出される...
淡島寒月 「亡び行く江戸趣味」
...極めて緻密なる細部の雕刻までを鮮明に現わして殆んど実物を髣髴せしめた...
内田魯庵 「灰燼十万巻」
...その行列の姿を髣髴(ほうふつ)とさせるのである...
高見順 「如何なる星の下に」
...随って一局面より形体全部の象を最も明瞭に髣髴たらしむ可き特徴を択ばざる可からず...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...六代目の感じが髣髴(ほうふつ)として来るように巧みに癖を捉(とら)えてある...
谷崎潤一郎 「細雪」
...)如何によく過去の時代の壮麗なる式場の光景を眼前に髣髴(ほうふつ)たらしめるであろうか...
永井荷風 「霊廟」
...意識の表面で凝(こ)って髣髴(ほうふつ)として別天地を拓いている処を見ると...
二葉亭四迷 「平凡」
...髣髴(ほうふつ)として意気な声や微妙な節廻しの上に顕(あら)われて...
二葉亭四迷 「平凡」
...みんなそれぞれにおれの姿を髣髴させてゐる...
堀辰雄 「恢復期」
...彼の河内山を聴いてゐると常に坊主頭の快漢が目前に髣髴として来るのは...
正岡容 「下谷練塀小路」
...その眼底に髣髴(ほうふつ)する焦燥をありありと燃え立てさせた...
室生犀星 「お小姓児太郎」
...其中に一箇の薄命なる女子の生涯が髣髴として現れるであらう...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...土瓶絵の性質が髣髴(ほうふつ)と浮ぶように感じられます...
柳宗悦 「益子の絵土瓶」
...眼前に髣髴(ほうふつ)としてくるようだ...
吉川英治 「随筆 新平家」
...その辞々句々を、細心に含味してゆくと、およそ、武蔵が、六十年の巷で、何を知って来たか、どう歩いてきたか、髣髴と、彼の生涯が、分ってくる...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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