...彼女は一瞬間心の中に昔の「猿(さる)」を髣髴(ほうふつ)しながら...
芥川龍之介 「春」
...昔の慎太郎さんに髣髴たるものがある...
石川欣一 「可愛い山」
...六代目の感じが髣髴(ほうふつ)として来るように巧みに癖を捉(とら)えてある...
谷崎潤一郎 「細雪」
...髣髴(はうふつ)として一大奇景の眼下に横(よこたは)れるを見る...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...室(へや)よりはその流の髣髴を見ることを得ざれども...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...マヂニーに髣髴(ほうふつ)して...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...博物館なる櫻井香雲氏の摸本にて髣髴を得たりしとは...
内藤湖南 「寧樂」
...何となしに甲州一国を髣髴(ほうふつ)させるのが山科の風景である...
中里介山 「大菩薩峠」
...どうかしてこの込み入った画の配合や人間の立ち廻りを鷲抓(わしづか)みに引っくるめてその特色を最も簡明な形式で頭へ入れたいについてはすでに幼稚な頭の中に幾分でも髣髴(ほうふつ)できる倫理上の二大性質――善か悪かを取(と)りきめてこの錯雑(さくざつ)した光景を締(し)め括(くく)りたい希望からこういう質問をかけるものと思われます...
夏目漱石 「中味と形式」
...惜しいかな現代の青年はこれを髣髴することが出来ん...
夏目漱石 「野分」
...彼はただその人の本体を髣髴(ほうふつ)するに苦しむに過ぎなかった...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...暗黒の宇宙で空しい旋転をつづける全太陽系遊星の未来の予想図に髣髴するといわれる...
久生十蘭 「南極記」
...絶え間なく白日の夢に髣髴としてゐるのであつた...
牧野信一 「鱗雲」
...丁度(ちやうど)淡紅色の櫻草(さくらさう)の花に髣髴(さもに)てゐる...
三島霜川 「平民の娘」
...バルザックの小説の場面が髣髴(ほうふつ)される...
宮本百合子 「一票の教訓」
...苦心に疲れている半白の小ぢんまりした母親のおとなしく賢い顔つきが勉の目に髣髴(ほうふつ)とした...
「小祝の一家」
...私の手紙には私の声が聞こえますか? 私のころころした恰好が髣髴(ほうふつ)いたしますか...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...弾き手の美しさも目に髣髴(ほうふつ)と描かれる点などが非常な名手と思われる点である...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
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