...僕はこの一行(いちぎやう)の中に秋風(しうふう)の舟を家と頼んだ幇間(ほうかん)の姿を髣髴(はうふつ)した...
芥川龍之介 「大正十二年九月一日の大震に際して」
...今こそ自分は先生を――先生の健気(けなげ)な人格を始めて髣髴(ほうふつ)し得たような心もちがする...
芥川龍之介 「毛利先生」
...六月十日金之助虚子先生座右京都で会った漱石氏私は別項「漱石氏と私」中に掲げた漱石氏の手紙を点検している間に明治四十年の春漱石氏と京都で出会った時の事を昨日の如く目前に髣髴(ほうふつ)した...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...大八洲成生の伝説を髣髴(ほうふつ)さすものではないか...
田中貢太郎 「日本天変地異記」
...六代目の感じが髣髴(ほうふつ)として来るように巧みに癖を捉(とら)えてある...
谷崎潤一郎 「細雪」
...マヂニーに髣髴(ほうふつ)して...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...)如何によく過去の時代の壮麗なる式場の光景を眼前に髣髴(ほうふつ)たらしめるであろうか...
永井荷風 「霊廟」
...母の全体はとても髣髴(ほうふつ)する訳に行かない...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...汁粉であるか小豆(ゆであづき)であるか眼前に髣髴する材料もないのに...
夏目漱石 「京に着ける夕」
...當時の状況は後年の作「マルテの手記」中に髣髴としたり...
堀辰雄 「リルケ年譜」
...やはり折にふれては肉眼に髣髴とする絶対の存在だ...
牧野信一 「凩日記」
...サロメを髣髴するなどゝいつた...
牧野信一 「サロメと体操」
...蜻蛉が水の上に産卵する光景を髣髴させたり...
牧野信一 「蝉」
...その先生の態度は恰もシナイ山の岩壁に十誡の言葉を彫むモーゼの概を髣髴させる底の熱度に充ちてゐた...
牧野信一 「文学とは何ぞや」
...映画俳優の中野英治を髣髴させるかのやうな爽快な可憐味に富んでゐた...
牧野信一 「岬の春霞」
...彼の河内山を聴いてゐると常に坊主頭の快漢が目前に髣髴として来るのは...
正岡容 「下谷練塀小路」
...苦心に疲れている半白の小ぢんまりした母親のおとなしく賢い顔つきが勉の目に髣髴(ほうふつ)とした...
「小祝の一家」
...この画を通じてこの画よりもさらに偉大な多くの画のあった時代を髣髴(ほうふつ)し得るのである...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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