...飽きるような事はなかろうと思う...
芥川龍之介 「兄貴のような心持」
...観察も思想もないあくがれ小説がそういつまで人に飽きられずにいることができよう...
田山花袋 「少女病」
...かうして油繪の出來て行く道筋を飽きずにおしまひまで見屆けようとして居るのかと思つても見た...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...寝飽きたような腫(は)れぼッたい顔をして...
徳田秋声 「足迹」
...女房たらしも飽きて...
中里介山 「大菩薩峠」
...麩(ふ)に飽きた金魚のように口をモグモグさせながらも...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――江戸も飽きたから大坂へ行ってみたい――と...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その後賣女に飽きたものか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もうとっくに見飽きているのか...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...千々子さまは、飽きもせずに、毎日、根気よく電話で誘いかける...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...スープが要るだろ?」「スープは飽きたからいらん...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...汽車ごつこをすること――一通りの遊びに私達は飽きてゐた...
牧野信一 「毒気」
...すぐに人に逢ってこれだけの言葉もみずから発しなければならぬものと思うようになったかと考えるとこの人を飽き足らぬものに薫は思われた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...「こんな暮しは御免だ、飽き飽きした、……おふくろはいつもそう云ってた、満足に食いてえ物も食えねえ、着てえ物も着られねえ、おまえさんなんかと一緒になるンじゃアなかった、……こいつを口癖のように云った、いつも頭が痛え、腰が痛え、眩暈(めまい)がする腹がやめる、疲れて起きられねえから、おまえさん起きて釜の下を焚きつけて呉れ、……そして、そのくせ夜中になれば、父をそっと寝かしたこたアねえ、むりむてえかかってくんだ、否も応もねえ、むりむてえ、文句なしなんだ、……たまには父もいやだでとおすことがあった、誰にだって、どんなに強くったって、そこは男は女たア違う、どういきんでもいきみきれねえ時があらア、……知れたこッたが無事にゃアおさまらねえ、おれの口じゃア云えねえような悪態だ、帝釈(たいしゃく)様も耳を押えたくなるような悪態の始まりだ」「女はつまらねえもんだ、まるで下女下男みてえだ、……これがおふくろのもう一つの口癖だった」彼はひと口飲んで続けた、「男は外で勝手な事をする、ちっとばかりの稼ぎで酒も飲む、隠れて悪遊びもするが、女は家にひっこんでぼろの縫い繕い、煮炊き洗濯、子供の世話から暮しの心配から、いやな事はみんな女の役だ、下女下男なら給銀てえものがあるが、女房にゃアそれもねえ、働きどおし働いて、これッぽちも楽しい思いをしねえで、亭主にこき使われ、牛馬のように一生を終ッちまう、これが女の一生だ、……ああ、……だがおらあ知ってるんだ、おらあ、……この眼で見て、この耳で聞いて知ッてるんだ、おふくろは父が稼ぎに出るとのこのこ起きだして来る、父の炊いてった飯を食う、それから近所の嬶たちを呼ぶか、こっちから押掛けるかして、十文が菓子を買ってがぶがぶ茶を飲みながら、……緞帳(どんちょう)芝居の役者評判か色噺(ばなし)か、近所合壁(がっぺき)の悪口が始まる、……恥も外聞もねえような、男も顔が赤くなるような下劣なことを饒舌って、げらげら笑って、しめえにゃアてんでんが、てめえの亭主を裸にするようなことをぬかしゃアがる、……嘘アつかねえ、おらあこの眼で見た、この耳で聞いた、おらあちゃんと知ってるんだ」「父はいい人間だった」ひと息いれて松は話し継いだ、「――おふくろになんと云われても、決して口答えはしなかった、……済まねえ、おれに甲斐性(かいしょう)がなくッて申し訳がねえ、もうちっとだから辛抱して呉んねえ、……だが旦那、父だって人間だ、一寸じゃねえかもしれねえ、五分ぐれえかもしれねえが、五分の虫にだって二分五厘の魂はあらア、たまにゃあむしゃくしゃして肚(はら)も立つだろう、やけくそなような気持にだってなるこたアあらア、……稼いでも稼いでも、正直一方でこすい事が出来ねえ、いつも下積みでうだつがあがらねえ、女ア知らねえから外で勝手なまねをしていると思ってる...
山本周五郎 「嘘アつかねえ」
...それこそ飽き飽きするほどのろのろと...
山本周五郎 「柳橋物語」
...舟に飽きるのがふつうだが...
吉川英治 「私本太平記」
...宿屋の飯にも飽きたから...
吉川英治 「治郎吉格子」
...――飽きも飽かれもせぬ妻を捨て...
吉川英治 「山浦清麿」
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