...食慾は不思議になくなっていたけれども...
有島武郎 「親子」
...大きな柳の木蔭で急に食慾が兆(きざ)して来て...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...」食慾も、またあの性慾とやらも、何も無い涼しい恋の会話が続いて、夢で、以前に何度も見た事のある、しかし、地球の上には絶対に無い湖のほとりの青草原に私たち夫婦は寝ころぶ...
太宰治 「フォスフォレッスセンス」
...よき睡眠とよき食慾だ...
種田山頭火 「行乞記」
...食慾不振と睡眠不能とは人間生活の最大不幸である...
種田山頭火 「其中日記」
...これは青虫ほど旺盛な食慾をもっていないらしいが...
寺田寅彦 「蜂が団子をこしらえる話」
...食慾が無くなるし...
豊島与志雄 「囚われ人」
...鰻の丼も食慾を刺戟しないこともない...
中里介山 「大菩薩峠」
...食慾も性慾もあつてなきが如くでさへある...
中原中也 「山羊の歌」
...冬空の外気に刺戟(しげき)された食慾を充(み)たすに足るほどの財布を懐中していた...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...「彼女はバラ色の食慾で貪(むさぼ)り食った」とか...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...どうやら食慾の命じるままに...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...朝夕の動悸が余程順調になり次第に食慾も増して来る結果を明らかに認めざるを得ないのである...
牧野信一 「心悸亢進が回復す」
...生憎(あいにく)今夜は嘔吐やや烈(はげ)しかりしために腹具合悪く、食慾なけれど、無下(むげ)にことわるも如何にて、煎餅より外に何もないか、といへば、今日貰ふたる日光羊羹(ようかん)ありといふ...
正岡子規 「明治卅三年十月十五日記事」
...夫人はだるい疲れた食慾のない気持でいて...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...甘く煮た黒豆! 一太は食慾のこもった眼を皿の豆に吸いよせられながら...
宮本百合子 「一太と母」
...眼のむさぼり、眼の食慾、眼のよろこび 眼から眼へ流れるものは無辺際(むへんさい)的なニュアンスと複雑さと簡明さをもっている...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...それに彼女の食慾がなかったのも...
吉川英治 「江戸三国志」
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