...流れのところどころに、飛び石のように、大きな岩が頭を出しています...
江戸川乱歩 「怪人二十面相」
...知人の処になど行って庭の飛び石を歩く時にはガラガラ変な音がするには甚だ困るなど随分この下駄では滑稽(こっけい)なはなしがある位...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...しかし、二十六だったか七だったか、八か、あらたまって尋ねて聞いた事も無いので、はっきりした事は覚えていないが、とにかくまあ、その娘ひとりであずかっている家に、三十七の義兄と三十四の姉が子供を二人も連れてどやどやと乗り込んで、そうしてその娘と遠方の若い海軍とをいい加減にだまして、いつのまにやらその家の財産にも云々(うんぬん)、などと、まさかそれほど邪推するひとも有るまいが、何にしても、こっちは年上なのだから、無意識の裡(うち)にも、彼等のプライドを、もしや蹂躙(じゅうりん)するという事になってやしないだろうか、とその頃の実感で言えば、まるで、柔い苔(こけ)の一ぱい生(は)えている庭を、その庭の苔を踏むまいとして、飛び石伝いに、ひょいひょいとずいぶん気をつけて歩いているような姿であった...
太宰治 「薄明」
...手に名刺を持ちながら飛び石を伝わって来た...
谷崎潤一郎 「細雪」
...お前は茶を入れな」そう云い捨てて飛び石づたいに枝折戸(しおりど)から表へ廻ると...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...画面の中央の下方にある一枚の長方形の飛び石であった...
寺田寅彦 「庭の追憶」
...このただ一枚の飛び石の面にだけでも...
寺田寅彦 「庭の追憶」
...そのときにいつも目の前の夕やみの庭のまん中に薄白く見えていたのがこの長方形の花崗岩(かこうがん)の飛び石であった...
寺田寅彦 「庭の追憶」
...飛び石のそばに突兀(とっこつ)としてそびえた楠(くす)の木のこずえに雨気を帯びた大きな星が一ついつもいつもかかっていたような気がするが...
寺田寅彦 「庭の追憶」
...飛び石が置いてあった...
徳田秋声 「足迹」
...飛び石の多い庭へ下り立って見たりした...
徳田秋声 「黴」
...飛び石が二つ、松一本のほかには何もない、平庭(ひらにわ)の向うは、すぐ懸崖(けんがい)と見えて、眼の下に朧夜(おぼろよ)の海がたちまちに開ける...
夏目漱石 「草枕」
...だれかが飛び石づたいにはいって来ました...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...一種飛び石のようなものである...
柳田国男 「雪国の春」
...飛び石伝いに母屋の方へ参りますと...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...灸は庭の飛び石の上を渡って泉水の鯉を見にいった...
横光利一 「赤い着物」
...と――樅(もみ)や楓(かえで)の植込(うえこ)みを縫って飛び石伝いにカラカラと...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...前栽(せんざい)の飛び石をさぐりながら...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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