...思切りよく飄然(ふらり)と家出をして了つて...
石川啄木 「足跡」
...故山の花を後(あと)にして飄然北海の客となつた...
石川啄木 「悲しき思出」
...飄然(へうぜん)として祖国を去つて巴里(パリー)に入るや...
石川啄木 「閑天地」
...僅(わず)かばかりの身の廻りのものを友の家に預けて飄然として放浪の旅に上った...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...飄然と早稲田鶴巻町の戸泉という郷党の書生たちの下宿へ現れた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...すると李は飄然と来た...
田中貢太郎 「蓮香」
...薩摩海岸に飄然上陸した一宣教師やが...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...終に飄然として外國漫遊の客と爲り...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...自分の子とは思うていないのかしら」そこへ飄然(ひょうぜん)と竜之助が帰って来ました...
中里介山 「大菩薩峠」
...本島人も知らないところへ行って死ぬ」飄然と去ってゆく頭目の後ろ姿を一族の誰もが言葉もなく見送っていたが...
中村地平 「霧の蕃社」
...去年の春飄然(ひょうぜん)と東京へ戻って来た...
夏目漱石 「野分」
...かね」と迷亭はあいかわらず飄然(ひょうぜん)たる事を云う...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...けれども試験を受けぬ訳には往かぬから試験前三日といふに哲学のノート(蒟蒻板(こんにゃくばん)に摺(す)りたる)と手帳一冊とを携へたまま飄然(ひょうぜん)と下宿を出て向島の木母寺(もくぼじ)へ往た...
正岡子規 「墨汁一滴」
...飄然(ひょうぜん)と小倉を去った...
森鴎外 「二人の友」
...夏は来ぬかの焔よりいや熱く燃ゆるは君の胸ばかりかはふと土に手を触れながらかのひとのことを思へば涙こぼれぬ夏は来ぬ大川端に泣きにゆく頃となりぬと書ける文かな大川の風に吹かれて来るごとし飄然としてきたる汝が文はらはらとわが膝の上にこぼれたる涙に似たる雨の音かな病蘇小彼の女がどつと重い病の床に就いたのは...
吉井勇 「酔狂録」
...飄然(ひょうぜん)として見えなくなったり...
吉川英治 「親鸞」
...わしも奈良へ戻るとしよう」飄然(ひょうぜん)と猫背の後ろ姿を向け...
吉川英治 「宮本武蔵」
...飄然として岫(みね)をいずる白雲のごとく東に漂い西に泊す...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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