...デモ倉や、プロ亀ときては、新しい方へ頭をつっこんで、かなり鼻っぱしが強いかと思うと、風向き次第で、からっきし腰が据っていない...
中里介山 「大菩薩峠」
...なるほど、武芸も芸には違いないが、あいつらの芸は下町の芸で、デモ倉流盛んな時はデモ倉流、プロ亀派が景気のいい時はプロ亀派、勤王がよければ勤王、佐幕がよければ佐幕で、風向き次第、どっちでも御用をつとめる大道武芸者だから、本当の芸人の中へは加えられねえ、大道芸人の方では、あいつらが大御所面で納まっているけれども、公儀には柳生流というお留流儀(とめりゅうぎ)もあれば、実力第一小野派一刀流という、れっきとしたのがある、木口や金茶の大御所流を入れることは、三下奴(さんしたやっこ)ならば知らぬこと、ビタちゃんとしてはいささか気がさすねえ、なあに、御祐筆(ごゆうひつ)の方へ申し込めば、御祐筆はみんなお人よしぞろいだから、ビタちゃんの言うなりにはなるがね、ビタちゃんの眼鏡の貫禄として、そう安売りはできねえ...
中里介山 「大菩薩峠」
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