...草のまるで生えていない砂地で――防風みたいな草が若干あったが食って見たら苦かった――風が吹くとこまかい砂が食器やコットの中に舞いこんで弱ったが...
石川欣一 「比島投降記」
...空も曇れば私も曇る雨か涙か――風が吹く昨日も今日も無言...
種田山頭火 「其中日記」
...曇つて風が吹く、まさに秋風だ...
種田山頭火 「其中日記」
...九十五度の風が吹くと温帯の風物は赤土色の憂愁に包まれてしまうのである...
寺田寅彦 「夏」
...風が吹く...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...誰にも、それは、語れないことだけれども、それこそが、いのちだらうぢやないですか、けれども、それは、示(あ)かせない……かくて、人間、ひとりびとり、こころで感じて、顔見合せればにつこり笑ふといふほどのことして、一生、過ぎるんですねえ雨が、あがつて、風が吹く...
中原中也 「在りし日の歌」
...◇浅間裾野の六里が原も通へ通へと風が吹く...
野口雨情 「大利根八十里を溯る」
...風が吹くと本当に雁が部屋の中に這入って来そうに思えた...
林芙美子 「落合町山川記」
...(十月×日)秋風が吹く頃になりました...
林芙美子 「新版 放浪記」
...どこを貧乏風が吹くかと...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...ひやりとした風が吹くようになっていて...
火野葦平 「人魚」
...明日は明日の風が吹くとやっつけてしまったが――...
正岡容 「寄席」
...秋風が吹く頃まで...
松崎天民 「友人一家の死」
...雨が降る――風が吹く土(つち)のお宮は淋しかろ 寒かろう送ってあげたや紅の地に金糸の花を縫い取って真綿を厚く夜の衣(きぬ)それにそえては虹のよな糸でかがった小手毬を――日はひねもす夜は夜もすがら銀の小針をはこばせて縫いは縫うたが悲しやな送りたいにもつてはなし土のお宮にただ一人妹(いも)を送りし姉娘縫いあげし衣(きぬ)手に持ちてわびしく一人たたずめる...
宮本百合子 「悲しめる心」
...風が吹くと『暴風』だというので...
山之口貘 「暴風への郷愁」
...風が吹く?――「どこに風が吹いてゐるんです...
横光利一 「蛾はどこにでもゐる」
...風が吹く度びに揺れる繁みの中から時計の白い台盤が現れてはまた青葉に隠された...
横光利一 「旅愁」
...ことに富士のよく晴れる季節の秋から冬にかけてはこの伊豆西海岸には殆んど毎日西風が吹くために...
若山牧水 「樹木とその葉」
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