...どこを風が吹くかというふうでいらるる人のけっして想像し得ることではないのだ...
伊藤左千夫 「去年」
...白波が押し寄せて松風が吹くばかり...
種田山頭火 「行乞記」
...九十五度の風が吹くと温帯の風物は赤土色の憂愁に包まれてしまうのである...
寺田寅彦 「夏」
...誰にも、それは、語れないことだけれども、それこそが、いのちだらうぢやないですか、けれども、それは、示(あ)かせない……かくて、人間、ひとりびとり、こころで感じて、顔見合せればにつこり笑ふといふほどのことして、一生、過ぎるんですねえ雨が、あがつて、風が吹く...
中原中也 「在りし日の歌」
...冬期北半球では西北の風が吹く...
中谷宇吉郎 「雪」
...蜀黍畑お背戸の 親なしはね釣瓶海山(うみやま)千里に風が吹く蜀黍(もろこし)畑も日が暮れた鶏 さがしに往かないか...
野口雨情 「十五夜お月さん」
...海から山吹く風が吹く...
野口雨情 「未刊童謡」
...この節の西北の風が吹く時...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...風が吹くと本当に雁が部屋の中に這入って来そうに思えた...
林芙美子 「落合町山川記」
...どこを貧乏風が吹くかと...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...おまけに少し風が吹くと...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...風が吹くたびにヒラヒラと枯葉を飛ばす...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...それを並べた店の四尺程のけちな棚を天下の秋風が吹く光景である...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...「北風が吹くと寒いね」「…………」大助はあっけにとられた...
山本周五郎 「新潮記」
...風が吹く?――「どこに風が吹いてゐるんです...
横光利一 「蛾はどこにでもゐる」
...それから私は風が吹く度に無常の風ではないかと恐れ出した...
横光利一 「無常の風」
...沖の初島(はつしま)の方から折折(をりをり)に風が吹く...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...青田の風が吹くようになったら行こう...
吉川英治 「鬼」
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