...私は前後を顧慮しないではいられない程...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...徐々に生まれ出たものであることをわたしは知っている――それは外見などは顧慮しない...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...自分の魂を「鼻の缺けた首」としてしまって、美女と二人きりで甘美な夢の国に遊びたいという武州公の願望は、これを解釈すると、善も美も道徳も、気取りもお体裁も、すべての常套的束縛を脱却し、第三者の目には「鼻の缺けた首」同様、醜とも滑稽とも見えることを、顧慮しないで、思う存分に生を楽(たのし)みたいことを意味しているのだ...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...史学的方法を顧慮しないために生じたものである...
津田左右吉 「日本上代史の研究に関する二、三の傾向について」
...然るに運動の運動力を顧慮しないということは正に運動の運動学的規定を取り扱うことに外ならなかった...
戸坂潤 「エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説」
...他の内容を顧慮しないにしても之を全く忘れて了うことではない...
戸坂潤 「幾何学と空間」
...機械化部隊を顧慮しない戦闘精神などはあり得ないからだ...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...未来の吉凶を顧慮しないので民衆から愛せられ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...私はどうして頑固な父の反對も顧慮しないで養父の許に走つたのでせう...
長塚節 「教師」
...「兄さん佐野さんていったいどんな人なの」と例の前後を顧慮しない調子で聞いた...
夏目漱石 「行人」
...人々は少しも顧慮しないもののようであつた...
長谷健 「天草の春」
...ただ叡智のみを避難所とせよ……まことの賢者はこの世における結果の善悪を顧慮しない...
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig van Beethoven 片山敏彦訳 「ベートーヴェンの生涯」
...實生活を顧慮しない天才教育のやうなものであつた...
正宗白鳥 「語學修業」
...その方針や演目の配列は食う必要を顧慮しないで実施出来る...
三好十郎 「俳優への手紙」
...左右のことを顧慮しない...
三好十郎 「肌の匂い」
...また少しも顧慮しないで衝き進んだこともだんだん私の心の持ちようにも染みてゆくところがあった...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...又定(きま)つた綴音(シラブル)も脚韻も顧慮しない代(かは)りに頻(しきり)に頭韻法を繰返す...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...しかしまた世人を顧慮しないことを見せるために...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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