...故に我等は藝術の製作に際して民衆と社會とを顧慮してゐてはいけない――自分は此の如き主張の中にも猶相當の理由あることを認める...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...前後を顧慮している...
大隈重信 「文明史の教訓」
...国の習慣とか歴史とかいうようなものを顧慮して作るものである...
高楠順次郎 「東洋文化史における仏教の地位」
...童心に與へる影響ならびに發賣禁止のおそれを顧慮して...
太宰治 「お伽草紙」
...今時分から何しに行くのかとうるさく聞きたがるであろうことを顧慮して...
谷崎潤一郎 「細雪」
...娘は或は村や町の人々の眼に触れるのを顧慮して...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...吾々は次に之を顧慮してこの作用の関係を構成しなければならない...
戸坂潤 「エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説」
...ジャーナリズムの一部分を通じて事実上吾々二人(其他にも沢山のジャーナリストがそうなのだが)に下った禁筆令?の件を顧慮してのことである...
戸坂潤 「『唯研ニュース』」
...自然がわれわれの意向など顧慮してくれないから...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...人民の思わくを顧慮して容易に手をつけることをしなかった...
野上豊一郎 「処女の木とアブ・サルガ」
...それを顧慮して話すフロラの家族の者とだけ稍(やゝ)自由に話し得る程度であつたから――英語を持つて様々な日本語の解釈をするのは難儀であつた...
牧野信一 「鸚鵡のゐる部屋」
...英会話の不得意な相手を顧慮して繰り返すことも厭はずに...
牧野信一 「舞踏会余話」
...こういうことを顧慮してはどうですか...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...ハハ!友吉 (その自分のコッケイなミジメな姿を顧慮している余裕なく)俊子! 気をつけて! 気をつけて行くんだよ! 治子さんから離れないで――いいかい...
三好十郎 「その人を知らず」
...単に同じ対象を尊敬する場合を顧慮して言ってみると...
森鴎外 「寒山拾得」
...すでに何を顧慮しているひまもなかった...
吉川英治 「私本太平記」
...出発前の多用なのを顧慮して辞去しようとするフロイスを...
和辻哲郎 「鎖国」
...柳の芽の迅速な成長を顧慮して考えるとき...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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