...頤(おとがい)を支えた指で...
泉鏡花 「婦系図」
...頤(あご)をしゃくッて「宜(い)いかい」というと直ぐに合点したもんだ...
内田魯庵 「二葉亭余談」
...頤から下を、同じく純白の絹でもって身体にピタリと合う服――というよりも手首足首にまで届くコンビネーションのような最新の衣裳を着、その上に幅広の、きわめて薄い柔軟ガラスで作ったピカピカ光る透明なガウンを長く引きずるように着ていた...
海野十三 「十八時の音楽浴」
...速水氏はくびれたような長い頤の先で...
海野十三 「深夜の市長」
...」「私の書物(ほん)を出版したい?」徳富氏はこの頃髭を剃り落したばかりの頤(あご)を撫でながら...
薄田泣菫 「茶話」
...恍惚(うっとり)と父君に凭(もた)れかかるようにして、清らかな横顔、頤(あご)、頸筋をこちらに覗(のぞ)かせているロゼリイス姫の玲瓏(れいろう)さ! 白絹の垂れ幕の彼方ながら、透き徹らんばかりに(ろう)たけた神々しさ! 何かは知らず、壮厳なあたりの空気に圧せられて、我々が一瞬間呆気(あっけ)に奪(と)られて佇立していた時に、跪(ひざまず)いた侍女の一人が何か囁(ささや)いたのでしょうか? 両胸に垂れた白髯がかすかに揺(ゆら)いで、寝台上の老エフィゲニウスがあたかも瞑想からでも醒めたように、静かに眼を開きました...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...よく剃りの当ったまんまるな線のくっきりした頤は...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「頸の上のアンナ」
...俗吏の頤使を受けて...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...かわいらしい小窪(こくぼ)が頤(あご)のまん中に笑っていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...頤(あご)を撫でながら奉加帳をくりひろげたものです...
中里介山 「大菩薩峠」
...左手を円(まる)い頤に掛けて...
野村胡堂 「礫心中」
...知らねえならなんでそんなに慄えるんだね」真名古は机の上から以前の写真を取り上げてそれを笑子に手渡しすると、頤をしゃくって、「よく見ろ、これは岩井の写真じゃない、総監の写真だ...
久生十蘭 「魔都」
...塩を銜(ふく)んだ頤が獣のやうに緊るのを知つた時...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...頤を突き出して私を差した...
牧野信一 「環魚洞風景」
...頤をつき出して憎々をした...
牧野信一 「冬の風鈴」
...それをかくせと頤をしゃくる...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...学生は「頤(あご)なし」と云っていた...
森鴎外 「雁」
...銀(ぎん)のような髯(ひげ)が頤(あご)からたれて風をうけているのが...
吉川英治 「神州天馬侠」
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