...元気は全(まる)で失(な)くなって頗る銷沈(しょうちん)していた...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...割合に単純なこの殺人事件を頗る複雑化したところの代物なんです...
大阪圭吉 「死の快走船」
...かの説明とこの解釈と、単に一定の時期に止まり、或は一定の部分に限られて、再び其勢力を失わんか、別に著しき影響を生ずることなしと雖も、一度び民衆の意識圏内に浸入して、永遠にその勢力を逞うするに至るときは、其言語上に及ぼす影響の、頗大なるが如く、説話構成の契機としても、亦た軽視す可からざるなり...
高木敏雄 「比較神話学」
...(IX 214)632 ミケーネーにてシリーマンの發掘せる黄金の盃頗る此敍述に似る...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...而して大隈伯の如きは思想交通の一機關として頗る有効なる働らきを爲しつゝあるを記憶せざる可からず...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...其根拠の鞏固なる容易に抜く可からざるものあり司法省に於ける山県系統は亦頗る広く...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...頗る妥協的に再び世に出て來たのであつて...
内藤湖南 「維新史の資料に就て」
...この常平舎は東京到る所にあって頗る書生どもに便を与えた...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...偏頗(へんぱ)の傾あり...
直木三十五 「南国太平記」
...其料理人の拵(こしら)へたものを食(く)つて見ると頗(すこぶ)る不味(まづ)かつたんで...
夏目漱石 「それから」
...頗る吾人の意を得たるものにして...
原勝郎 「貢院の春」
...我邦の立法史上および法学史上頗る意味の深い事柄であるから...
穂積陳重 「法窓夜話」
...然しそれは知的作用の分極に比し頗る不完全不安定のものであつて...
増田惟茂 「知的作用と感情と」
...愛(あい)ちやんは頗(すこぶ)る失望(しつばう)して誰(だれ)かに助(たす)けて貰(もら)はうと思(おも)つてた矢先(やさき)でしたから兎(うさぎ)が傍(そば)へ來(き)たのを幸(さいは)ひ...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...しかれども図式は頗奇異なり...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...説明は頗(すこぶ)る簡単である...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...寺有禅僧、観有道士、並守清不食葷、頗見古風不廃...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...ご偏頗なお仕打のお返しをして見しょうか...
吉川英治 「源頼朝」
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