...葉子はまたそれには頓着(とんじゃく)なく五十川(いそがわ)女史のほうに向いて...
有島武郎 「或る女」
...それさへ握つてゐれば、渠は決して、人の所謂(いはゆる)世界に對して、頓悟、漸覺、理想だの、無理想だのと云はない...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...三 食道楽と無頓着二葉亭には道楽というものがなかった...
内田魯庵 「二葉亭余談」
...このキャタ公が都合よく応援に来てくれないと、すべて思索なり推理なりが、停頓閉塞する...
海野十三 「軍用鮫」
...職人風の一人が両手をさあッと挙(あ)げて頓狂(とんきょう)な叫びを発した...
海野十三 「電気風呂の怪死事件」
...校長も一個の新党で、梁啓超の主筆の雑誌「時務報」などの愛読者だったらしく、「変法自強の説」にもひそかに肯定を与えていたようで、漢文の試験にも他の儒者先生のように古聖賢の言を用いず、「華盛頓(ワシントン)論」というハイカラな問題を出したりして、儒者先生たちはその問題を見て、かえって自分たち生徒に、華盛頓って、どんな事だい、とこっそり尋ねる始末であった...
太宰治 「惜別」
...庭をキョロキョロ見廻しながら頓興(とんきょう)な声で呼んだ...
谷崎潤一郎 「細雪」
...それに頓着なしに...
中里介山 「大菩薩峠」
...頓宮兵衛入道西仏等の面々今こそ出家の身ではあるが...
中里介山 「法然行伝」
...ここで先生の現代のいわゆる整頓した教育制度に対する御意見を聞く機会を逸したことは誠に残念である...
中谷宇吉郎 「先生を囲る話」
...自分が頓着(とんじゃく)しなくとも善いことが多くありはせぬか...
新渡戸稲造 「自警録」
...船の中は隅から隅まできちんと整頓されていて...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...頓(とん)と見込みが付かぬ...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...作家がどんなに無頓着に書かうと...
堀辰雄 「プルウストの文體について」
...私は殆ど無頓着(むとんちやく)であつた...
宮地嘉六 「ある職工の手記」
...食物に無頓着な男子は人の良人(おっと)たるべき第一の資格がないのですからそんな人物は来なくても構いません」と相(あい)も変(かわ)らず極端説...
村井弦斎 「食道楽」
...快復期には何の食物と日本流の食物を指定してくれれば極(ご)く都合がいいけれども多くは無頓着で...
村井弦斎 「食道楽」
...十シラブル十五シラブルの地名を無頓着に用いている...
柳田國男 「地名の研究」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??