...私は一人の病人と頑是(がんぜ)ないお前たちとを労(いた)わりながら旅雁(りょがん)のように南を指して遁(のが)れなければならなくなった...
有島武郎 「小さき者へ」
...これからうんと歩く用心にその側に五つか六つ位の帽子も冠らない未だ頑是ない男の子が...
千家元麿 「自分は見た」
...店から店と頑是(がんぜ)もなく観(み)て歩いたもの...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...ただそうして頑是ない子供のように...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...あっても相手は頑是(がんぜ)ないこいさんである上に累代の主家のお嬢様である佐助としてはお供の役を仰(おお)せ付かって毎日一緒(いっしょ)に道を歩くことの出来るのがせめてもの慰(なぐさ)めであっただろう...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...頑是(がんぜ)ない滋幹をたしなめるのと同じ口調で父をたしなめたりしたが...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...尤もこれがまだ頑是ない仔猫であつたら...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...まだ頑是ない時分から女人禁制(きんぜい)の比叡の山に預けられて...
谷崎潤一郎 「二人の稚児」
...頑是(がんぜ)ない子供がやっと積み上げた小石の塔を...
中里介山 「大菩薩峠」
...頑是(ぐわんぜ)ない子供(こども)の間(あひだ)にも家族(かぞく)の力(ちから)は非常(ひじやう)な勢(いきほ)ひを示(しめ)して居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...――頑是(がんぜ)ない小供みたように」「小供なら結構です...
夏目漱石 「虞美人草」
...写生文家の人間に対する同情は叙述されたる人間と共に頑是(がんぜ)なく煩悶(はんもん)し...
夏目漱石 「写生文」
...頑是(がんぜ)ない子供のように泣き出した...
久生十蘭 「キャラコさん」
...実(げ)に人生の悲しみは頑是(がんぜ)なき愛児を手離すより悲しきはなきものを...
福田英子 「妾の半生涯」
...いかに頑是(がんぜ)ないころであったにいたせ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...下の二人即ち静雄と輝夫はまだ頑是なくて...
柳田国男 「故郷七十年」
...松千代の友だちにはちと頑是(がんぜ)なさ過ぎるが...
吉川英治 「黒田如水」
...そこに仲よく遊んでいる頑是(がんぜ)ない二人の幼児(おさなご)を...
吉川英治 「親鸞」
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