...狩犬の一頭が鞠(まり)のように身をはずませて...
芥川龍之介 「偸盗」
...この席で「美しい人」と云えばさしずめ鞠子さんだ...
江戸川乱歩 「悪霊」
...鞠子さんとの白っぽい洋服が...
江戸川乱歩 「悪霊」
...鞠の両人は父の眠っている鮭川の磯に急ぎ...
太宰治 「新釈諸国噺」
...日本の昔でも手鞠(てまり)や打毬(だきゅう)や蹴鞠(けまり)はかなり古いものらしい...
寺田寅彦 「ゴルフ随行記」
...夏繪(なつゑ)は紺(こん)のスカアトを飜(ひるがへ)しながら鞠(まり)を追(お)つた...
南部修太郎 「畫家とセリセリス」
...(七)龍華寺(りうげじ)の信如(しんによ)、大黒屋(だいこくや)の美登利(みどり)、二人(ふたり)ながら學校(がくこう)は育英舍(いくえいしや)なり、去(さ)りし四月(ぐわつ)の末(すゑ)つかた、櫻(さくら)は散(ち)りて青葉(あをば)のかげに藤(ふぢ)の花見(はなみ)といふ頃(ころ)、春季(しゆんき)の大運動會(だいうんどうくわい)とて水(みづ)の谷(や)の原(はら)にせし事(こと)ありしが、つな引(ひき)、鞠(まり)なげ、繩(なわ)とびの遊(あそ)びに興(きやう)をそへて長(なが)き日(ひ)の暮(く)るゝを忘(わす)れし、其折(そのをり)の事(こと)とや、信如(しんによ)いかにしたるか平常(へいぜい)の沈着(おちつき)に似(に)ず、池(いけ)のほとりの松(ま)が根(ね)につまづきて赤土道(あかつちみち)に手(て)をつきたれば、羽織(はをり)の袂(たもと)も泥(どろ)に成(な)りて見(み)にくかりしを、居(ゐ)あはせたる美登利(みどり)みかねて我(わ)が紅(くれない)の絹(きぬ)はんけちを取出(とりいだ)し、これにてお拭(ふ)きなされと介抱(かいほう)をなしけるに、友達(ともだち)の中(なか)なる嫉妬(やきもち)や見(み)つけて、藤本(ふぢもと)は坊主(ぼうず)のくせに女(をんな)と話(はなし)をして、嬉(うれ)しさうに禮(れい)を言(い)つたは可笑(をか)しいでは無(な)いか、大方(おほかた)美登利(みどり)さんは藤本(ふぢもと)の女房(かみさん)になるのであらう、お寺(てら)の女房(かみさん)なら大黒(だいこく)さまと言(い)ふのだなどゝ取沙汰(とりさた)しける、信如(しんによ)元來(ぐわんらい)かゝる事(こと)を人(ひと)の上(うへ)に聞(き)くも嫌(きら)ひにて、苦(にが)き顏(かほ)をして横(よこ)を向(む)く質(たち)なれば、我(わ)が事(こと)として我慢(がまん)のなるべきや、夫(そ)れよりは美登利(みどり)といふ名(な)を聞(き)くごとに恐(おそ)ろしく、又(また)あの事(こと)を言(い)ひ出(だ)すかと胸(むね)の中(なか)もやくやして、何(なに)とも言(い)はれぬ厭(い)やな氣持(きもち)なり、さりながら事(こと)ごとに怒(おこ)りつける譯(わけ)にもゆかねば、成(な)るだけは知(し)らぬ體(てい)をして、平氣(へいき)をつくりて、むづかしき顏(かほ)をして遣(や)り過(す)ぎる心(こゝろ)なれど、さし向(むか)ひて物(もの)などを問(と)はれたる時(とき)の當惑(たうわく)さ、大方(おほかた)は知(し)りませぬの一ト言(こと)にて濟(す)ませど、苦(くる)しき汗(あせ)の身(み)うちに流(なが)れて心(こゝろ)ぼそき思(おも)ひなり、美登利(みどり)はさる事(こと)も心(こゝろ)にとまらねば、最初(はじめ)は藤本(ふぢもと)さん藤本(ふぢもと)さんと親(した)しく物(もの)いひかけ、學校(がくかう)退(ひ)けての歸(かへ)りがけに、我(わ)れは一足(あし)はやくて道端(みちばた)に珍(めづ)らしき花(はな)などを見(み)つくれば、おくれし信如(しんによ)を待合(まちあは)して、これ此樣(こんな)うつくしい花(はな)が咲(さい)てあるに、枝(えだ)が高(たか)くて私(わたし)には折(を)れぬ、信(のぶ)さんは脊(せい)が高(たか)ければお手(て)が屆(とど)きましよ、後生(ごせう)折(を)つて下(くだ)されと一むれの中(なか)にては年長(としかさ)なるを見(み)つけて頼(たの)めば、流石(さすが)に信如(しんによ)袖(そで)ふり切(き)りて行(ゆき)すぎる事(こと)もならず、さりとて人(ひと)の思(おも)はくいよ/\愁(つ)らければ、手近(てぢか)の枝(えだ)を引寄(ひきよ)せて好惡(よしあし)かまはず申譯(まうしわけ)ばかりに折(を)りて、投(なげ)つけるやうにすたすたと行過(ゆきす)ぎるを、さりとは愛敬(あいきやう)の無(な)き人(ひと)と惘(あき)れし事(こと)も有(あり)しが、度(たび)かさなりての末(すゑ)には自(おのづか)ら故意(わざと)の意地惡(いぢわる)のやうに思(おも)はれて、人(ひと)には左(さ)もなきに我(わ)れにばかり愁(つ)らき處爲(しうち)をみせ、物(もの)を問(と)へば碌(ろく)な返事(へんじ)した事(こと)なく、傍(そば)へゆけば逃(に)げる、はなしを爲(す)れば怒(おこ)る、陰氣(いんき)らしい氣(き)のつまる、どうして好(よ)いやら機嫌(きげん)の取(と)りやうも無(な)い、彼(あ)のやうなこ六づかしやは思(おも)ひのまゝに捻(ひね)れて怒(おこ)つて意地(いぢ)はるが爲(し)たいならんに、友達(ともだち)と思(おも)はずは口(くち)を利(き)くも入(い)らぬ事(こと)と美登利(みどり)少(すこ)し疳(かん)にさはりて、用(よう)の無(な)ければ摺(す)れ違(ちが)ふても物(もの)いふた事(こと)なく、途中(とちう)に逢(あ)ひたりとて挨拶(あいさつ)など思(おも)ひもかけず、唯(たゞ)いつとなく二人(ふたり)の中(なか)に大川(おほかわ)一つ横(よこ)たはりて、舟(ふね)も筏(いかだ)も此處(こゝ)には御法度(ごはつと)、岸(きし)に添(そ)ふておもひおもひの道(みち)をあるきぬ...
樋口一葉 「たけくらべ」
...荒縄で鞠(まり)のように縛られている...
吉川英治 「大岡越前」
...四度ほど鞠(まり)のように蹴転(けころ)がされて...
吉川英治 「銀河まつり」
...鞠(まり)の如くに引ッくくってしまった...
吉川英治 「剣難女難」
...「何をするっ」猛虎は、床に倒れながら、両脚で二人を蹴上げたが、とたんに魏続、宋憲の部下の兵が、どやどやと室に満ちて、吠える呂布へ折重なって、やがて鞠の如く、縛り上げてしまった...
吉川英治 「三国志」
...彼の身は鞠(まり)のようにくくられていた...
吉川英治 「私本太平記」
...鞠つき唄をうたっていた...
吉川英治 「私本太平記」
...鞠を蹴る伎(わざ)の十分の一でも...
吉川英治 「新書太閤記」
...いずれも鞠好きな...
吉川英治 「新・水滸伝」
...広やかな鞠の坪(つぼ)をかこんで...
吉川英治 「新・水滸伝」
...――見るからに軽快な鞠装束(まりしょうぞく)である...
吉川英治 「新・水滸伝」
...体を鞠(まり)にして...
吉川英治 「宮本武蔵」
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