...何でも父の刀は鞘走(さやばし)つた拍子(ひやうし)にさかさまに溝の中に立つたと云ふことである...
芥川龍之介 「本所両国」
...腰にさげた聖柄(ひじりづか)の太刀(たち)が鞘走(さやばし)らないように気をつけながら...
芥川龍之介 「羅生門」
...鞘(さや)はなくて...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...漸次利鞘を大にして勉強の度を減ずるほかありませんから...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...それまでは」とガチャガチャなる鞘にこの刀身をおさめながらつけ加えて言った...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「秘密の庭」
...「何をなさる」百城は、鞘ぐるみ、脇差を抜取って、片膝を立てて身構えた...
直木三十五 「南国太平記」
...鞘(さや)も柄(つか)もない...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...蝋塗鞘(ろうぬりざや)...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...鞘と柄は、あんまり血に汚れたので神田川へ抛り込みましたが、中身だけは捨てる気になりませんでした」又六の顔は、涙と汗に塗(まみ)れて、山椒魚(さんしょううお)のように醜く光ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...八五郎さんの鞘當(さやあて)の相手になるものか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お禮を言ふぞ」血刀に拭ひをかけて鞘に納めた上...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「そんな大喧嘩始めるには、深いワケがあるだろう、言葉の行き違いと言った、手軽なことじゃあるまい」「良い年増と年増の喧嘩だ、食物の怨みや酒の上じゃ、あんなにまで耻も外聞も忘れて、引っ掻いたり噛み付いたり、命がけで揉み合えるものじゃありません」「男のことか」「図星、さすがは銭形の親分」「馬鹿にしちゃいけねえ」「情事(いろごと)となると、恐ろしくカンの悪い親分だが、今度は当りましたよ、鞘当の目当ては、金沢町の平野屋の若旦那金之助――口惜しいがあっしじゃありません」「で?」八五郎の話術に引入れられて、平次も少しばかり興が動いたようです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「鞘(さや)は?」「最初からなかつた」「御存じありませんか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その鞘(さや)の口金(くちがね)はそこから数間を隔てた廊下の隅から探し出された...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...皮鞘の長太刀を横たえているに過ぎない...
吉川英治 「上杉謙信」
...慇懃(いんぎん)に礼をかえして太刀を鞘(さや)に納めた...
吉川英治 「剣難女難」
...どうして一筋の刀の鞘や柄に...
吉川英治 「随筆 新平家」
...まだ鞘(さや)に納めずにいた刀で...
吉川英治 「宮本武蔵」
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