...靴(くつ)、鞄(かばん)、帽子、革帯(かはおび)、ところせく列(なら)べる店に坐り居て、客のくる毎(ごと)、尽日(ひねもす)や、はた、電燈の青く照る夜も更(ふ)くるまで、てらてらに禿(は)げし頭を礼(ゐや)あつく千度(ちたび)下げつつ、なれたれば、いと滑(なめ)らかに数数の世辞をならべぬ...
石川啄木 「詩」
...さうして一つの鞄と一つの風呂敷包とを兩手に提げて...
石川啄木 「第十八號室より」
...鞄をここへ載せて……そしていよいよ赤見沢博士謹製(きんせい)の摩訶(まか)不思議なる逸品(いっぴん)の拝観と行こうか」目賀野は...
海野十三 「鞄らしくない鞄」
...彼らがお化け鞄に始めてめぐり合ったどりもずっと以前のことになる...
海野十三 「鞄らしくない鞄」
...鞄の中にあった博士のピストルを握りしめていた...
海野十三 「地球を狙う者」
...いつも旅行鞄の底に用意されていたのだ)...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...小橋氏は鞄を提(ひつさ)げた儘はたと立ち停つた...
薄田泣菫 「茶話」
...私は学生鞄(かばん)に着更の浴衣(ゆかた)やらシャツやらを詰め込み...
太宰治 「老ハイデルベルヒ」
...衣裳(いしょう)は別に鞄(かばん)に詰めて持って行きたかったのであるが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...常に版木を鞄へ入れて持つて行く...
谷崎潤一郎 「文房具漫談」
...鞄を持つた医者、子を負つた女、そんな中に、お巡りさんも一人ゐた...
津村信夫 「猟人」
...やがて鞄とトランクの荷造りはできあがった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...早く鞄を持ちたまえ...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...彼は網棚の上の鞄を指さした...
平林初之輔 「謎の女」
...鞄を置いて大きな欠伸(あくび)をした...
山本周五郎 「季節のない街」
...それでもまだ学生らしくなくするために、鞄を棄てて、書物やノートをポケットに入れて、指環をはめたりステッキを持ったりする...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...電車や汽車の中で大ビラに鞄(かばん)を交換するのです...
夢野久作 「爆弾太平記」
...どうも用事が長引いてね……」と鞄一パイのお土産を荷(かつ)ぎ込む中折れ……...
夢野久作 「鼻の表現」
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