...武士の涙を注いで友人の時ならぬ非運を悼(いた)んだ...
ワシントン・アーヴィング Washington Irving 吉田甲子太郎訳 「幽霊花婿」
...その成熟しない中に本年一月の大会で分裂の非運に遭遇したのであるが...
浅沼稲次郎 「まあまあ居士の弁」
...誰か彼を以て激情のために非運の最期を遂げたる一薄倖児(いちはくかうじ)と云ふ者あらむや...
石川啄木 「渋民村より」
...不幸一歩を誤りて戦敗の非運に遭いまするならば...
内村鑑三 「デンマルク国の話」
...この非運に際して...
梅崎春生 「Sの背中」
...是非運動でなければならぬ...
大隈重信 「運動」
...彼等はただ非運に悲しんでばかりはいなかった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...あの言葉、この言葉、三十にちかき雑記帳それぞれにくしゃくしゃ満載、みんな君への楽しきお土産(みやげ)、けれども非運、関税のべら棒に高くて、あたら無数の宝物、お役所の、青ペンキで塗りつぶされたるトタン屋根の倉庫へ、どさんとほうり込まれて、ぴしゃんと錠(じょう)をおろされて、それっきり、以来、十箇月、桜の花吹雪より藪蚊(やぶか)を経て、しおから蜻蛉(とんぼ)、紅葉も散り、ひとびと黒いマント着て巷(ちまた)をうろつく師走にいたり、やっと金策成って、それも、三十にちかき荷物のうち、もっとも安直の、ものの数ならぬ小さい小さいバスケット一箇だけ、きらきら光る真鍮(しんちゅう)の、南京錠ぴちっとあけて、さて皆様の目のまえに飛び出したものは、おや、おや、これは慮外、百千の思念の小蟹、あるじあわてふためき、あれを追い、これを追い、一行書いては破り、一語書きかけては破り、しだいに悲しく、たそがれの部屋の隅にてペン握りしめたまんま、めそめそ泣いていたという...
太宰治 「二十世紀旗手」
...78 屡誕生と同時に人の非運は定めらる...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...たぐひなき「非運」を君よ天に謝せ...
土井晩翠 「天地有情」
...精神的に全生涯が參つてしまふやうな非運さにはおとしたくないと思つてあれこれ考へてゐるのですがねえ...
林芙美子 「風媒」
...いかなる非運に際して辛苦(しんく)を嘗(なむ)るもかつて落胆(らくたん)することなく...
福沢諭吉 「瘠我慢の説」
...アテナイ人たちは、国内の敵をそのままにしてシチリアに押し渡ったため、非運にあった...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...非運に際してこれほどの我慢をもった人はなかった...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...非運非命につながり...
吉川英治 「大岡越前」
...およねちゃんの以後の生い立も非運な経路であったものらしい...
吉川英治 「紅梅の客」
...非運の底におののいていると聞きます……」孫策はさしうつ向いて...
吉川英治 「三国志」
...またぞろ尊氏の非運をみるや...
吉川英治 「私本太平記」
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