...或る相当な呉服店の主人の非人情的態度と草鞋を下さつたお内儀さんの温情とである(草鞋は此地方に稀なので殊に有難かつた)...
種田山頭火 「行乞記」
...山のなかへ野宿するほど非人情が募(つの)ってはおらん...
夏目漱石 「草枕」
...どうせ非人情をしに出掛けた旅だから...
夏目漱石 「草枕」
...非人情がちと強過ぎたようだ...
夏目漱石 「草枕」
...非人情も標榜(ひょうぼう)する価値がない...
夏目漱石 「草枕」
...小説も非人情で読むから...
夏目漱石 「草枕」
...もし世界に非人情な読み方があるとすればまさにこれである...
夏目漱石 「草枕」
...こうは動けませんよ」「ホホホホ大変非人情が御好きだこと」「あなた...
夏目漱石 「草枕」
...こんなに非人情な筈はないように思えるのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ああいう種類のやつの非人情...
久生十蘭 「犂氏の友情」
...例のとおり、非人情、冷酷な眼つきをしているが、見るからに憐れを催すほどひどく憔悴(しょうすい)し、シャツもズボンもズタズタに裂け、ところどころに、とっぷりと血の斑をつけていた...
久生十蘭 「地底獣国」
...約(つづ)めて申しますなら、酷薄非人情、鬼畜の如くに目されて来たこの真名古も畢竟一個の人間であったという儔(たぐ)いない発見によることなのであります...
久生十蘭 「魔都」
...非人情性とに義憤を持ち続けてゐるのであつた...
牧野信一 「円卓子での話」
...樽野は屡々(それは主に彼の家族を考へた時に)彼に、前述の如く、非人情性とか、醜い漁色癖とか! などといふ形容詞を冠せて義憤を抱いたが、それは樽野のほんの少々ばかり持つてゐる平凡な正義感情の場合だけで、確かに何かのためには(斯う力を籠めて考へるのが樽野の可笑しな癖だ...
牧野信一 「円卓子での話」
...凡(およ)そ今井の友人として、僕ほど不信な、僕ほど非人情な、僕ほどのほうずな男は、何処(どこ)にあろうとも思われない...
松崎天民 「友人一家の死」
...「何故(なぜ)?………俺(おれ)だツて其樣(そん)なに非人情(ひにんじやう)に出來てゐる人間ぢやないぞ...
三島霜川 「青い顏」
...「あんな非人情な者を...
吉川英治 「平の将門」
...先生の超脱の要求は(非人情への努力は)...
和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
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