...妖気靉靆(えうきあいたい)たる耽美主義の畠に...
芥川龍之介 「あの頃の自分の事」
...家々の軒や破風に夕餉の煙の靉(たなび)く街道に出て...
石川啄木 「二筋の血」
...綾(あや)なす霞を靉靆(たなび)かせた...
泉鏡花 「薄紅梅」
...靉靆(あいたい)たる瓔珞(ようらく)を白妙(しろたえ)の中空に吹靡(ふきなび)く...
泉鏡花 「薄紅梅」
...老僧ハ以二靉靆鏡ヲ一披ラクレ書...
京山人百樹 「北越雪譜」
...悠遠靉靆(ゆうえんあいたい)たる事に確信を持とうやないか...
太宰治 「惜別」
...渓流(けいりゅう)の響(ひびき)の潺湲(せんかん)たるも尾の上の桜(さくら)の靉靆(あいたい)たるもことごとく心眼心耳に浮び来り...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...ケラブの旗を見せゆるく靉びくむらさきはあまつをとめの裾や曳く...
土井晩翠 「天地有情」
...村落の上に靉いている朝靄と替炊の煙とを吹き流した...
豊島与志雄 「秋の幻」
...朝靄が靉いて、地面はしっとりと露に濡れていた...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...刷毛ではいたように靉いている...
豊島与志雄 「真夏の幻影」
...雲はヒラ/\と靉靆(たなび)き...
楢崎龍、川田雪山 「千里駒後日譚」
...なにやら悪湿(あくしつ)の気が靉(たなび)いている...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...自分が今この風景の中の点景人物であるといふことさへ忘れ果てたかのやうな靉靆たる鬼方の保護区(リザーブ)で酔ひ痴れてゐた...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...ハルトマンが靉靆(めがね)をもてせばや...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...右に左にゆらゆらと靉靆(たなびき)はじめました...
夢野久作 「雪の塔」
...山野は靉靆(あいたい)たる春霞をほの紅く染めて来た...
吉川英治 「三国志」
...靉靆(あいたい)たる怪雲(くわいうん)漸次に消散し風雨暫(しば)らくにして已(や)みぬ...
渡邊千吉郎 「利根水源探検紀行」
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