...颯(さっ)と薄桃色の瞼(まぶた)の霑(うる)んだ...
泉鏡花 「婦系図」
...風荒れ、雨舞ひ、傘端の點滴、人の衣を霑して、五體覺えず寒戰せり...
大町桂月 「房州紀行」
...其父の涙に霑(うる)んだ眼は...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...各国の利権を均霑せしめ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...その川の霑す極み...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...文明の趨勢と教化の均霑(きんてん)とより来(きた)る集合団体の努力を無視して...
夏目漱石 「文芸委員は何をするか」
...之等(これら)の黙止すべからざる温情が亨一の荒(すさ)んだ心に霑(うるお)ひを与へた...
平出修 「計画」
...」お仲さんの酌んで出した番茶に喉を霑(うるほ)して三人づれで出かけた...
平出修 「二黒の巳」
...その額を花蔓酒の雫をもつて霑ほして貰はう――ハツハツハ! 兵士だ...
牧野信一 「R漁場と都の酒場で」
...「後開榛名梅ヶ香(おくれざきはるなのうめがか)(安中草三郎(あんなかそうざ))」や「粟田口霑笛竹(あわたぐちしめすふえたけ)」や「塩原多助一代記(しおばらたすけいちだいき)」もまた逸(はず)すべからざる代表作品であるがこれらの検討もまた他日を期そう...
正岡容 「我が圓朝研究」
...柄(え)を握(にぎ)つた手(て)を霑(うるほ)す...
水野仙子 「悔」
...空(そら)には色(いろ)と霑(うるほ)ひとがある...
水野仙子 「日の光を浴びて」
...成湯(せいとう)の徳は禽獣に及びこの女将の仁は蛙を霑(うる)おすと評判で大挙して弔いに往ったは事実一抔啖(くわ)されたので...
南方熊楠 「十二支考」
...夕暮の糠雨に霑(ぬ)れてゐた...
三好達治 「測量船」
...「累霑位禄愧逢衣...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...山城河岸の雨露はこれを霑(うるお)し尽すことが出来なかったであろう...
森鴎外 「細木香以」
...けれどもその黒く霑(うる)んだ瞳と...
夢野久作 「暗黒公使」
...その生活の福祉に均霑(きんてん)することが...
与謝野晶子 「階級闘争の彼方へ」
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