...唯(と)見(み)れば一簇(いつそう)の雲(くも)の霏々(ひゝ)として薄(うす)く紅(くれなゐ)なるあり...
泉鏡花 「花間文字」
...其書(しよ)雪の霏々(ひゝ)たるがごとく諸国(しよこく)に降(ふら)さん事我(わ)が筆下(ひつか)に在(あ)りといはれたる書翰(しよかん)...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...と折から雪の霏々(ひひ)と舞い狂う荒磯で声をからして懇願すれば...
太宰治 「新釈諸国噺」
...唯雪が霏々(ひひ)また霏々と限りもなく降って居る...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...雨霏々...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...霏々(ひひ)として灰は降り...
中里介山 「大菩薩峠」
...春雨や小磯の小貝濡(ぬる)るほど終日霏々(ひひ)として降り続いている春雨の中で...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...窓の外では霧雨が林の上に霏々(ひひ)として降りつづいていた...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...雪だ、霏々と降る...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...やっぱり霏々(ひひ)として降りやまぬ雪の伊勢佐木町を...
正岡容 「寄席」
...五律の前半に、「入春纔九日、白雪再霏々、未使花香放、奈何鶯語稀」と云つてある...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...花吹雪の霏々(ひひ)と乱れる中を衝いて...
吉川英治 「剣難女難」
...霏々(ひひ)と散りしいた柳葉の地上に督郵は...
吉川英治 「三国志」
...明けても暮れても大陸の空は灰色に閉じて白いものを霏々(ひひ)と舞わせている...
吉川英治 「三国志」
...風を交じえた粉雪なので、霏々(ひひ)と、雪には声があり、まだ凍(い)て乾(かわ)いている地上から逆さに白く煙って翔(か)ける...
吉川英治 「私本太平記」
...――すべて離散の人もみな霏々(ひひ)たる枯葉(こよう)の行方と変りがない...
吉川英治 「私本太平記」
...霏々(ひひ)と雪ふぶきの吹いていたその日の別離を...
吉川英治 「日本名婦伝」
...ただ暗い雲の吐く粉雪のけむりに全市は霏々(ひひ)と顫(おのの)いていた...
吉川英治 「日本名婦伝」
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