...どこでもピクニックはそうしたものだが、ナプキンだの紙包みだの、風でごそごそ這い廻る不用の油紙だのの堆(やま)のなかで、みんなてんでに見当がつかなくなって、どこに誰のコップがあるのやら、どこに誰のパンがあるのやらもわからず、葡萄酒を毛氈に零(こぼ)す、自分の膝に零す、塩を撒きちらす、おまけにぐるり一面は真暗で、焚火もいつの間にか衰えかけているのだが、誰ひとり立って粗朶をくべに行くだけの元気もない...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...よく康子は清二に零すのであつた...
原民喜 「壊滅の序曲」
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