...我が十二三歳の頃愛読したりし漫録集にして永く雲隠れしたりしものを...
石川啄木 「閑天地」
...「あっ、」とばかり、屹(きっ)と見据えた――能楽界の鶴なりしを、雲隠れつ、と惜(おし)まれた――恩地喜多八、饂飩屋の床几(しょうぎ)から、衝(つ)と片足を土間に落して、「雪叟が鼓を打つ! 鼓を打つ!」と身を揉(も)んだ、胸を切(せ)めて、慌(あわただ)しく取って蔽(おお)うた、手拭に、かっと血を吐いたが、かなぐり棄てると、右手(めて)を掴(つか)んで、按摩の手をしっかと取った...
泉鏡花 「歌行燈」
...二人はどこかへ雲隠れしてしまったのだ...
海野十三 「大脳手術」
...その代り霧隠れ雲隠れの秘薬の製法...
江見水蔭 「怪異黒姫おろし」
...霧隠れ雲隠れの秘薬とやら」「それには又それで秘事口伝が有る...
江見水蔭 「怪異黒姫おろし」
...霧隠れ雲隠れの秘薬...
江見水蔭 「怪異黒姫おろし」
...雲隠れした「要視察人」の俺を血眼(ちまなこ)で探していることだろう...
高見順 「いやな感じ」
...飄然(ひょうぜん)どこか山の中にでも雲隠れしたいものだ...
太宰治 「乞食学生」
...雲隠れしたわけでした...
谷譲次 「踊る地平線」
...夕方、敬君来、つゞいて樹明来、暮羊来、お土産のハムを下物におもしろく飲み、めづらしく句を作つたが、三人いつしよに街へ出かけて、K屋、F屋とほつつき歩いて、みんなだらしなくなつた、先づ敬君が行方不明、樹明君が雲隠れ、そして虎になつた暮君を虎になりたがる山頭火が辛うじて引張つて帰つた、二時頃だつたらう...
種田山頭火 「旅日記」
...仕事服の男はまったく雲隠れしてしまったのである...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...惜しいことに雲隠れで……」「人違いもその辺になると御愛嬌ですよ...
中里介山 「大菩薩峠」
...またこのごろ雲隠れ...
中里介山 「大菩薩峠」
...雲隠れする必要があり...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...今回は妙な連中と数週間雲隠れしておる...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「ギルレイ」
...逃亡・雲隠れだからね...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...亡(な)き影やいかで見るらんよそへつつ眺(なが)むる月も雲隠れぬるもう朝になるころ源氏は二条の院へ帰った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...かきくらす涙か雲かしらねどもひかり見せねばかかぬ一章 (晶子)[#「雲隠れ」の帖は冒頭の晶子詞のみで本文はありません...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
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