...唇だけが際立つて紅かつた...
石川啄木 「刑余の叔父」
...両肩のあたりに真白な刺毛(さしげ)が際立つて光つてゐるので...
薄田泣菫 「独楽園」
...其荒い隙間から菜の花の透いて見えるのが際立つて美くしい...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...水際立つて罪が無く...
太宰治 「右大臣実朝」
...斜めに透かした時に検温器の水銀のように際立つのであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...だのいふ物を何となく鮮明に何となく際立つて見せてゐた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...それも大抵はいつもきまつて鼻の際立つて大きい肥つた下司がふくみ聲で...
田山花袋 「道綱の母」
...一座暫(しばら)くは無言の中に、女心の何につけても感じ易いと見えて、頭取の夫人の吐く溜息のみが、際立つて聞えた...
永井荷風 「一月一日」
...空氣の澄渡つて冷(ひやゝか)なことが際立つて感じられて來る...
永井荷風 「十年振」
...稍不透明な空氣は尚針の尖でつゝくやうに其白い一點を際立つて眼に映ぜしめる...
長塚節 「寫生斷片」
...處處に寺院の屋根や洋館の塔などが際立つて聳えてゐる...
「修道院の秋」
...どちらも水際立つた美男美女で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ああ書けかう書けと注文される位なものだ」「そんな馬鹿なことはない」と否定する山本氏の聲が際立つてきこえた...
長谷川時雨 「むぐらの吐息」
...日に焼けた顔からくっきり際立つ白い額には...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...際立つた文体変遷の初ではあるが...
水野葉舟 「言文一致」
...それが際立つて新しく騷しかつたから禁制もしたのであらう...
三田村鳶魚 「女順禮」
...二人共際立つて小さく見える...
森鴎外 「花子」
...肌(はだえ)の美しさが一入(ひとしほ)際立つてくる...
柳宗悦 「和紙の教へ」
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