...これは、後(あと)で聞いたのでございますが、死骸(しがい)は、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向(あおむ)けになって、臥(ね)ていたそうでございます...
芥川龍之介 「運」
...子供心に死んだ金魚を庭の一隅に埋めて小さな石のお墓をたてて母にその仕末を報告した...
上村松園 「棲霞軒雑記」
...大隅先生のお話なの...
海野十三 「地球盗難」
...重ねてまた大隅君の無感動の態度を非難した...
太宰治 「佳日」
...部屋の隅がはっきりわかって...
太宰治 「虚構の春」
...間道や谷間の隅々までも土を掘り返し岩を揺り起して捜索したのでは...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...それでも今なお世間の一隅には...
津田左右吉 「陳言套語」
...彼は室の隅(すみ)にすわった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...休課の時間にもわたくしは一人運動場の片隅で丁度その頃覚え初めた漢詩や俳句を考えてばかりいるようになった...
永井荷風 「十六、七のころ」
...室の隅(すみ)の廊下口の真正面へ来て着座した...
夏目漱石 「門」
...上海租界の茶亭の一隅で...
服部之総 「撥陵遠征隊」
...自分達の逃げた隅田公園の邊には澤山の死人も出したりしてゐたから...
林芙美子 「なぐさめ」
...たちまちながら今度は四隅に取りかかった...
正岡容 「圓太郎馬車」
...乞食して軒の下に寐るとも折檻せられて庭の隅に夜を明したるを思へば物の數ならず...
正岡子規 「花枕」
...この一隅に秋立つ日楓の幹を蟻が上る 急げ急げ 夕立がくる鳴神(なるかみ)は隈取りをして灰色の兩手を擴げて ――軒端を蜂が飛んでゐる...
三好達治 「立秋」
...ちょうどもう一つの片隅をわたしの心の中にとってあるように...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...船の一隅、潮除(しおよ)けの蔀(しとみ)の蔭に、苫(とま)をかぶっていたふたりの客が、ムクムクと身を起こしてあたりの旅客の様子を眺めた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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