...緑色の陰気な小さな花を開く...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...その陰気な声が、黒衣婦人を思わず身ぶるいさせた...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...陰気な雲は空一面にどんよりと押し詰って...
大阪圭吉 「死の快走船」
...家の人達と彼との間に陰気な密雲が蔽(おお)いかぶさったようになって...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...嘗て素顔君に肩を貸して黙つて蓼川までの道を歩いて行つた時の陰気な淋しい面影は払拭されて...
高浜虚子 「椿子物語」
...決して陰気な方じゃございませんから...
谷崎潤一郎 「細雪」
...まして湯殿がおそろしく陰気な建て方で...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...向うの陰気な小部屋で...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...殊に寺院墓地の如き陰気なものに来られては...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...それはまたしっかりした精悍(せいかん)なそして陰気な顔つきであった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...ハイタは憂鬱で陰気な男になっていきました...
A. ビアス A.Bierce The Creative CAT 訳 「羊飼いハイタ」
...陰気な眼を伏せたまま...
久生十蘭 「魔都」
...この陰気な穴の中――というのは...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...こんにち陰気な家がポツンポツンとよそよそしく立っているに過ぎない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...父親の姿に接する時程私は陰気な虚無感に誘われる時はない...
牧野信一 「ゼーロン」
...とある山陰の杉の木立が立っておるような陰気な所で其木立をひかえて一つの焼き場がある...
正岡子規 「死後」
...陰気な妓ですよ」「つまり湯島へ寄ったのはその帰りですか」と甲斐が云った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...だからこの草茫々たる荒地の中に立っている、見すぼらしい西洋館は、このような性格の主人に最も適当した住居(すまい)で、同時にその主人公の背の高い、青黒い、陰気な風采と、この上もなくしっくりしているに違いないと思う...
夢野久作 「暗黒公使」
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