...陰々として私たちのまわりを立て罩(こ)めたような気がしたのですから...
芥川龍之介 「妖婆」
...霊山に撞(つ)く寺の鐘、丑満時(うしみつどき)を報(つ)げ来(こ)して、天地寂然(しん)として、室内陰々たり...
泉鏡花 「活人形」
...昨夜のように陰々滅々なあんまでは...
梅崎春生 「幻化」
...陰々(いんいん)たるひびきをもっていた...
海野十三 「海底大陸」
...陰々と夜をむかえる響だった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...この陰々たる天主閣...
豊島与志雄 「文学以前」
...百八つの梵鐘はまだ加十の頭の中で陰々と鳴りはためいているのに...
久生十蘭 「魔都」
...影うすく膝に手を置いてションボリと俯向いているようすというものは実にどうも陰々滅々...
久生十蘭 「魔都」
...この座敷ばかりは陰々滅々...
久生十蘭 「魔都」
...不健全な飽満が陰々と余韻をひいてゐて悩ましかつた...
牧野信一 「昔の歌留多」
...万事が理詰めで陰々と暗い...
正岡容 「小説 圓朝」
...陰々と聞えて来るのであった...
山本周五郎 「風流太平記」
...四更(こう)の頃になると作兵衛滝(さくべえだき)の鳴(な)りが止まって陰々たる人の囁きが聞こえる事があると...
吉川英治 「江戸三国志」
...年若い女子の悲鳴が、その間に、陰々と、人目のない所から聞えてきたり、また公然と、さらわれて行ったり、眼もあてられない有様だった...
吉川英治 「三国志」
...六月二日夜の陰々たる洛中を剣槍に守られて通ったものは...
吉川英治 「新書太閤記」
...余韻は陰々と地へ地へと消え入って...
吉川英治 「新書太閤記」
...関の警鼓(けいこ)が陰々と鳴っていた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...そして傷口から流れる血をすすっては、陰々と、雲に向って吠えた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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